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リースバックやリバースモーゲージは高リスク?違いやメリット・デメリットについて解説

2024.08.15

リースバックとリバースモーゲージは、どちらも所有している不動産に住み続けながら、資金調達できるサービスです。老後の蓄えや資金を得る方法として仕組みは似ていますが、「売却」と「借入れ」という違いがあります。この記事ではそれぞれの違いやメリット・デメリットなどについて解説します。

リースバックとは

リースバックは、現在住んでいる自宅やマンションを売却した後も賃借してそのまま住み続けられるサービスです。

リースバックとは、本来「sale and leaseback」で、「売却と賃貸」と訳されます。つまり自宅などの不動産を売却すると同時に賃貸借契約をすることを意味します。住んでいる家を売り、賃貸物件として同時に借りるので、そのままその家に住み続けることが可能なのです。

リースバックのメリット

ローンを組むには年齢制限が設けられている場合がありますが、リースバックに年齢制限はありません。そして家を売却するため、多額の資金を一括で調達できます。売却後も住み慣れた家でそのまま生活できるので、引越しや仮住まいなどを準備する手間や費用を省けます。

不動産を売却することで、今まで支払っていた固定資産税や家の修繕費用などの金銭的な負担を減らすことが可能です。リースバックで得た資金は銀行から借りた資金ではないので、資金用途が限られず自由にお金を使用できるのが特徴です。老後のための生活資金だけでなく、事業の運転資金などにも使用できます。

リースバックのデメリット

不動産を売却することで家の所有権が変わります。売却と同時に賃貸契約するため、月々の家賃の支払いが発生します。契約期間に2年〜3年などの制限があることが多いので、契約内容をしっかり確認しましょう。

リースバックを利用して不動産を売却する場合、売却価格が市場よりもかなり低くなる傾向があります。将来的に買い戻す時には、売却金額より買取金額が高くなります。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、所有する不動産を担保に、金融機関から融資を受けられるサービスです。担保の不動産の価値に応じて定期的もしくは随時、金融機関から「融資上限額」までの融資を受けられます。不動産の所有権は変更されないので、そのままの生活が可能です。

融資の返済方法は、基本的には不動産の所有者が亡くなった後に不動産を売却することで一括返済され、その際に所有権が変更されます。

リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージは自宅を担保にすることで、金融機関から融資が受けられます。基本的に不動産の所有権は所有者が亡くなるまで変更しません。同じ家に住み続けることができ、引越しする必要がありません。

賃貸物件ではないので、自宅のリフォームなどもできます。毎月の返済は利息のみで、融資上限額まで借入れできるのがメリットです。

リバースモーゲージのデメリット

リーバースモーゲージを利用には、多くの金融機関では「50歳以上」などの年齢制限があり、相続人の同意が必要です。不動産価格の変動や金利の上昇リスクがあり、融資上限額や支払利息額が変動する可能性があります。

所有権は変更しないので固定資産税を支払い続ける必要があります。銀行からの借入れ資金なので、事業や投資などへの使用はできません。そのためリフォームや老後の生活費、医療費、趣味などへの活用に使用が限られてしまいます。

リースバックとリバースモーゲージの違い

リースバックとリバースモーゲージにはいくつか違いがあります。違いについてしっかり理解し、自分たちの人生設計に合った適切なサービスを選びましょう。

資金の受け取り方が違う

リースバックは不動産を売却した時に一括で売却代金を受け取れます。リバースモーゲージは不動産を担保として融資を受ける形です。借入れ枠を上限として、年金のような形で徐々に融資を受けられます。不動産価値の変動リスクがあるので、借入れ枠は少ない金額になる傾向があります。

所有権が移動する時期が違う

リースバックでは、不動産の売買締結時に売主から買主に所有権が移動します。リバースモーゲージでは自宅を担保にして融資を受けている状態なので、契約した時に所有権は移動せず、不動産の所有者が亡くなった後に所有権が金融機関等に移動します。

リースバックは契約時の「今」に所有権が移動し、リバースモーゲージでは所有者が亡くなる「未来」に所有権が移動する点が違います。

以下の記事では住みながら家を売るメリットとデメリットについて紹介しています。家に住みながら家の売却を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

住みながら家を売るメリットとデメリットを徹底比較!スムーズに売却するには

 

リースバック・リバースモーゲージの罠

リースバック・リバースモーゲージのリスクについて紹介します。サービスを検討する際の参考にしてください。

リースバックの罠

  1. ①家賃が高かったり、数年後に家賃を値上げされることがある
    リースバックの家賃は、相場よりも高めになる傾向があります。また契約中に家賃が値上げされることがあるので、契約時にしっかりと内容を確認しましょう。
  2. ②家を知らないうちに売却されてしまう
    不動産の所有権が変わっているので、今のオーナーによって不動産が勝手に売却されてしまうことがあります。その場合、新しいオーナーから家賃の値上げや正当事由の存在を理由に賃貸借契約の更新を拒否されることもあり得ますので、注意が必要です。
  3. ③家の買い戻しができない
    自宅を買い戻すつもりでリースバック契約していても、買い戻せないことがあります。家の買い戻しを考えているリースバック契約する時は、買い戻しに関する事項を契約書に明記しておくことがおすすめです。
  4. ④親族とトラブルになる可能性がある
    リースバックは契約時に相続人の同意は必要ありません。そのため相続するはずの親族にとっては勝手に家を売却したことになるので、トラブルに発展してしまうこともあります。

リバースモーゲージの罠

  1. ①不動産価値が下落するリスク
    リバースモーゲージ契約では、定期的な不動産価値の見直しがあります。不動産の評価額が下がってしまった場合には、融資限度額が変わってしまいます。借入れ額が融資限度額を上回ってしまうと差額分の返済を求められることも。
  2. ②金利変動のリスク
    金利が上がると毎月の返済利息が増え、負担が大きくなる可能性があります。将来的に返済額が上がって生活が苦しくなることも考えられるので、余裕を持った返済計画を立てましょう。
  3. ③長生きするリスク
    長生きすればするほど、融資限度額まで資金を使いきってしまうリスクがあります。老後の資金を使い切ってしまわないように資金を把握しておく必要があります。

リースバック・リバースモーゲージを利用する前に押さえておきたいポイント

リースバック・リバースモーゲージを利用する前に押さえておきたいのが、どちらのサービスが自分の目的に合っているか知ることです。ここではそれぞれに向いている人について紹介します。

利用する際には複数の業者に査定を依頼し、契約内容をしっかり確認した上で、失敗することがないようにしましょう。信頼のできる人に相談しながら進めることをおすすめします。

リースバックに向いてる人

リースバックに向いている人は、まとまった資金がすぐに必要な人です。将来転居する予定だったり施設入所を検討している人には向いています。老人ホームなどへの入所が決まっている場合、住み慣れた家で入居までの時間を過ごせます。

自由に資金運用ができるので借金返済などにも資金を使用できます。リースバックなら固定資産税や住宅の修繕費や維持費を抑えられるので、住宅の維持費を抑えたい人にもおすすめです。

リバースモーゲージに向いてる人

リバースモーゲージの利用に向いている人は、家のリフォームなどを考えている人です。家の老朽化などで高齢になってからの住み替えやリフォームが必要になった人が活用できるでしょう。

リバースモーゲージは、住環境を改善でき、返済負担も控えめにできるので、年金収入にプラスして老後の生活資金に安心感を得たい人にもおすすめです。

リースバックとリバースモーゲージの罠を避け、最適な選択をしよう

リースバックやリバースモーゲージは住み慣れた家に住みながら資金調達ができるという点で似ていますが、違う点も多くあります。便利なサービスですがデメリットも多いので「やばい」と言われることもあります。

それぞれの仕組みを理解した上で将来のライフプランを考えてください。自分たちだけで考えるのではなく信頼できる人に相談したり、他のサービスを利用することも視野に入れつつ、最適な選択ができるようにしましょう。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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