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不動産評価額とは何?5つの種類や調べ方を詳しく解説

2024.05.19

不動産の価値を表す「不動産評価額」には5つの種類があります。「固定資産税評価額・公示地価・基準地価・路線価・実勢価格」です。

不動産評価額は目的に応じて見る評価額が変わるため、それぞれの内容や調べ方を確認しておくことがポイントになります。

この記事では、不動産評価額の5つの種類それぞれの内容や調べ方を詳しく解説します。

不動産評価額とは?5つの種類について

不動産評価額とは、不動産の資産価値を示す価格のことです。

不動産評価額を調べることで、不動産を相続等で取得すると毎年どれくらい固定資産税がかかるのか、また所有している不動産を売却する際にかかる税金や、おおよその売買価格などを知ることができます。

不動産評価額は、主に5つの種類があります。

1.固定資産税評価額
2.公示地価
3.基準地価
4.路線価
5.実勢価格

見る人や目的によってどの不動産評価額を確認するかは変わってきます。

例えば固定資産税評価額は、これによって毎年の固定資産税が算出されます。次の見出しから、それぞれの内容と調べ方について詳しく解説していきます。

1.固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、区市町村が発表する固定資産税を算出するときの基準となる評価額です。固定資産税評価額を調べる方法は3つあります。

ここでは固定資産税評価額とは何か、調べ方もあわせて確認していきましょう。

固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、市区町村が発表する固定資産税を算出するときの基準となる評価額を指します。

固定資産税の計算方法は以下の通りです。

<計算方法>
固定資産税額 = 課税標準額(評価額) × 1.4%(標準税率)

固定資産税評価額は、不動産を取得する際に一度だけ発生する不動産取得税や、市街化区域内に不動産を所有している場合にかかる都市計画税、相続登記にかかる登録免許税の算出の基準にもなります。

固定資産税評価額は、土地と建物で異なる特徴があります。土地は後述する公示地価の約70%、建物は建築費の50〜70%が目安です。土地の評価額は3年に1回見直される仕組みになっています。

固定資産税評価額を調べる方法
固定資産税評価額の調べ方には、主に3つの方法があります。

・納税通知書で確認する
・役所で確認する
・全国地価マップで確認する

それぞれの調べ方について、詳しく解説します。

<納税通知書で確認する>
一つ目は納税通知書で確認する方法です。納税通知書は、市役所から不動産を所有している人へ、毎年1月1日時点の評価額が4〜5月頃に送付されます。

納税通知書内の「課税明細書」に記載されている土地と建物の評価額が、固定資産税評価額です。

<役所で確認する>
2つ目は役所で確認する方法です。不動産の所有者であれば、役所で固定資産税評価額を確認できます。

役所で「固定資産税評価証明書」を取得するか、あるいは「固定資産税課税台帳」を閲覧する方法でも確認が可能です。

基本的に確認できるのは不動産の所有者のみとされていますが、委任状があれば第三者でも取得や閲覧ができます。

<全国地価マップで確認する>
固定資産税評価額は、全国地価マップで確認すればインターネット内で調べられます。

調べ方の手順は以下の通りです。

①サイト内の「固定資産税路線価」をクリックする。
②調べたい不動産の住所を検索。
③1 m²当たりの固定資産税評価額を確認する。

1 m²当たりの固定資産税評価額に、所有している土地の面積をかけることで、固定資産税評価額は確認できるとされています。

しかし、評価額が上下する可能性があり、その要因としては、土地の形状、接道状況、土地の位置(敷地延長と呼ばれる旗竿地など)、建物の構造(木造、RCの違いなど)、設備(床暖房付きなど)、築年数などが挙げられます。

単純計算では正確には算出できないため、専門家に計算してもらった方が確実といえるでしょう。

2.公示地価

公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が発表する標準地の価格のことです。公示地価は国土交通省地価公示・都道府県地価調査で調べられます。

ここでは公示地価とは何か、調べ方も含めて詳しく解説します。

公示地価とは

公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が毎年3月に発表する標準地の価格のことです。その年の1月1日時点の標準地1平米当たりの価格を指します。

実際の販売価格や市場の価格とは異なり、一般の土地取引で指標となる価格を示したものです。

公示地価は、土地の相続税評価や固定資産税評価の基準にもなります。標準地1点につき不動産鑑定士が2名以上で評価し、国土交通省の土地鑑定委員会を経て金額が決まる仕組みです。

公示地価を調べる方法

公示地価は国土交通省地価公示・都道府県地価調査で調べられます。

調べ方の手順は以下の通りです。

手順
①国交省のサイトの「土地総合情報システム」にアクセスする。
②地価公示・都道府県地価調査をクリックする。
③ウェブサイト上の地図の中から調べたい都道府県をクリックする。
④次に市区町村をクリックする。
⑤検索条件を選択する。
公示地価のみ、最新調査年、住宅地を選択。
⑥検索を押すと、地価情報の詳細を確認できる。
⑦表示された「標準地番号」もしくは「詳細を開く」を押せば地価の詳細が確認できる。
⑧「価格(円/m²)」が公示地価

上記のように条件を選択して検索すると、公示地価が確認できます。

公示価格とは何?調べ方やその他の指標との違い、活用時の注意点を解説

 

3.基準地価

基準地価とは、1名以上の不動産鑑定士が基準地を調査して決める土地価格のことです。基準地価は公示地価と同様、国土交通省地価公示・都道府県地価調査から調べられます。

ここでは基準地価について、自分で調べる方法もあわせて確認していきましょう。

基準地価とは

基準地価とは、1名以上の不動産鑑定士が全国約2万1000地点にもおよぶ基準地を調査して決める、1平米当たりの土地価格のことです。各都道府県が主体で、都市計画区域以外の地点の価格も算出されます。

評価基準や価格はほぼ公示地価と同じです。しかし、公示地価は毎年1月1日時点での標準地1平米当たりの価格を示すのに対し、基準地価は毎年7月1日時点での価格を判定し、9月に都道府県から発表される違いがあります。

そのため、公示地価の補完として使用されたり、公示地価発表から半年間の地価変動を判断したりする役割も担っています。

基準地価を調べる方法

基準地価は公示地価と同様、国土交通省のサイト「土地総合情報システム」の地価公示・都道府県地価調査から調べられます。

調べ方の手順は以下の通りです。

手順
①国交省のサイトの「土地総合情報システム」にアクセスする。
②地価公示・都道府県地価調査をクリックする。
③ウェブサイト上の地図の中から調べたい都道府県をクリックする。
④次に市区町村をクリックする。
⑤検索条件を選択する。
都道府県地価調査のみ、最新調査年、住宅地を選択。
⑥検索を押すと地価情報の詳細を確認できる。
⑦表示された「標準地番号」もしくは「詳細を開く」を押せば地価の詳細が確認できる。
⑧「価格(円/m²)」が基準地価。

基準地価は土地売買の指標にはなりますが、実際に取引された価格ではないと認識しておきましょう。

4.路線価

路線価とは、一連の土地が面している路線ごとに評価した、1㎡当たりの土地価格を指します。路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2つがあり、それぞれ調べる方法があります。

ここでは路線価とは何か、2つの調べ方も踏まえて見ていきましょう。

路線価とは

路線価とは、一連の土地が面している路線ごとに評価した、1㎡当たりの土地価格のことです。路線価には、「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類あります。

相続税路線価は、土地の相続税や贈与税などを計算したいときに用いられ、公示地価の約80%が目安です。毎年1月1日時点で評価された価格を、毎年7月に国税庁が公開します。

一方、固定資産税路線価は、各市区町村が定める土地の固定資産税評価額や不動産の鑑定評価の基準になります。

固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税などを計算する際に用いられ、公示地価の約70%が目安です。

固定資産税路線価は、毎年1月1日時点で評価された価格を毎年4月に公表し、3年に1度評価替えが行われます。

路線価を調べる方法

路線価は、一般財団法人の「資産評価システム研究センター」が運営している「全国地価マップ」で調べられます。

「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2つあるため、どちらか調べたい方を選択します。

相続税路線価の場合
相続税路線価の場合は、以下の手順で進めていきます。

①相続税路線価を選択する。
②地図上の都道府県、市区町村を選択、もしくは郵便番号か住所、目標物どれかを記入する。
③対象の不動産に面している路線価をチェック。(例:135D)
④路線価額(千円)/1m²なので「135×1,000円=135,000円/1m²」となる。
⑤「路線価額×敷地面積」で計算すると路線価が算出される。

固定資産税路線価の場合
固定資産税路線価の場合は、以下の手順で調べていきます。

①固定資産税路線価を選択。
②地図上の都道府県、市区町村を選択、もしくは郵便番号か住所、目標物どれかを記入する。
③対象の不動産に面している路線価をチェック。
④1m²当たりの価格なので「路線価額×敷地面積」で計算すると固定資産税路線価が算出される。

5.実勢価格

実勢価格とは、実際の不動産取引額を指します。

実勢価格を調べるには、「土地総合情報システムで検索する」「固定資産税評価額で算出する」「不動産会社に査定を依頼する」の3つの方法があります。

ここでは実勢価格とは何か、3つの調べ方もあわせて確認していきましょう。

実勢価格とは

「実勢価格」とは、実際に市場で不動産取引された価格を指します。不動産を売却する際に参考となる価格です。

不動産の取引が行われると国土交通省へ取引データが収集され、物件が特定できない範囲で取引価格が公表されます。ただし、同じ標準地上の土地でも、需要や立地、周辺環境、売却時の価格交渉などで価格は変動するものです。

実勢価格はあくまでも目安として把握しておきましょう。

実勢価格を調べる方法

実勢価格の調べ方は、以下の3つです。

・「土地総合情報システム」で検索する
・固定資産税評価額で算出する
・不動産会社に査定を依頼する

それぞれの調べ方について、詳しく解説します。

「土地総合情報システム」で検索する
実勢価格は、国交省が運営するサイトの「土地総合情報システム」で調べられます。
手順は以下の通りです。

①国交省のサイトの「土地総合情報システム」にアクセスする。
②サイト上の不動産取引価格情報検索をクリック。
③画面左側で、直近の時期を選ぶ。
④種類を選ぶ。
土地や宅地などを選択する。
⑤調べたい不動産の都道府県、市町村、地区を選択する。
⑥調べたい不動産と似た条件の実勢価格を確認する。

固定資産税評価額で算出する
固定資産税評価額で算出する方法もあります。

・固定資産税評価額:公示地価の0.7倍
・実勢価格:公示地価の1.1倍

上記が目安となるため、公示地価がわからなくても算出できます。計算式は以下の通りです。

実勢価格=固定資産税評価額÷0.7×1.1

<固定資産税評価額が900万円の場合>
900万円÷0.7×1.1=約1,414万円が実勢価格の目安

固定資産税評価額が900万円の場合、実勢価格の目安は約1,414万円になります。

不動産会社に査定を依頼する
実勢価格は不動産会社に査定してもらうのも一つの手段です。とはいえ、不動産会社を選ぶのに迷ってしまう人もいるでしょう。

不動産会社でどこを選べばいいのかわからないときに、使われる一括査定を使うという方法もあります。複数の会社の相場を知れるので、より正確に相場を調べられるのがメリットです。

一方で、複数の会社から同時に連絡が来るなど、メールや電話対応に追われるなどのデメリットもあるため、それも踏まえて利用するようにしましょう。

不動産一括査定の4つのデメリットとは?注意点や選ぶポイントも解説

こんなときはどの不動産評価額を参考にする?

不動産評価額の5つの種類を見てきましたが、目的に応じて参考にするべき評価額は異なります。

ここからは「不動産の売却」「固定資産税や不動産取得税の金額計算」「不動産の相続」「財産分与」「相続税や贈与税の金額計算」など5つの目的を例に、それぞれどの不動産評価額を参考にしたら良いのか、確認していきましょう。

不動産の売却

不動産売却の場合は路線価や実勢価格、不動産会社の査定を参考にすると良いでしょう。また、標準地の価格を指す公示地価は、傾向を掴むのに活用できます。

不動産会社への査定は、周辺や直近の取引価格を調べてもらえるのがメリットです。ただし、価格相場からの見積りであるため、売却価格を保証するわけではないと認識しておきましょう。

固定資産税や不動産取得税の金額計算

固定資産税や不動産取得税の金額を計算するには「固定資産税評価」と「固定資産税評価額をもとにした課税標準額」これら2つの評価額が必要となります。

課税標準額などの計算は複雑なため、正確な金額を調べる場合は納税通知書や評価証明書で確認しましょう。納税通知書は毎年4~6月頃に市区町村から送られてきます。

評価証明書とは、土地や家屋の不動産の評価額を記載した証明書のことで、市区町村の窓口か郵送で送付できます。

不動産の相続

不動産を相続した場合、相続税額や相続した不動産の市場価値を調べる必要があります。

相続税額を調べる場合と、相続した不動産の市場価値を調べる場合、それぞれどの不動産評価額を参考にしたら良いのか確認していきましょう。

相続税額を調べる場合
相続税額を調べる場合、土地は相続税路線価、建物は固定資産税評価額で調べられます。土地の相続税路線価が不確定の場合は、固定資産税評価額で求めることが可能です。

相続税路線価が確定している地域では、路線価に持分割合と面積をかけて計算する「路線価方式」、相続税路線価が確定しない地域では、固定資産税評価額に決められた倍率をかけた「倍率方式」の計算式になります。

相続した不動産の市場価値を調べる場合
相続した不動産の市場価値を調べる場合は、実勢価格を参考にすると良いでしょう。

実勢価格は、土地総合情報システムや固定資産税評価額からでも調べられますが、不動産会社に査定してもらうのが一般的です。

不動産査定では、その時点での市場価値を教えてもらうことができます。相続税の支払いのために不動産売却を急ぐ場合でも、安く買い叩かれないためにまずは市場価値を知っておくことが大切です。

財産分与

離婚に伴い不動産の財産分与をする際には、家の評価額が重要になります。なぜなら、家の評価額が財産分与の計算基準になるからです。

不動産を財産分与する場合、実際の取引で活用したり、売却したりするケースが多いといえます。そこで評価額の目安となるのが実勢価格です。

不動産の売却をする場合は、市場価値を知ることができる不動産会社に査定してもらうと良いでしょう。

贈与税の金額計算

贈与税の金額を計算したい場合、土地は相続税路線価、建物は固定資産税評価額で調べられます。

贈与税の土地に対する計算は、前述した相続税額の計算式と同様で、路線価が定められている地域では路線価方式、定められていない地域では倍率方式で算出可能です。

建物は固定資産税評価額から求められます。

不動産評価額を調べるときの注意点とは?

不動産評価額はあくまでも目安であり、実際の取引額とは異なるのが注意すべき点です。

不動産の価値を算出する方法として、固定資産税路線価や相続税路線価が使用されますが、市場や環境などで実際の価格は変動します。

そのため、不動産価値を調べるなら、実際の取引がなされた場所に近い不動産会社に依頼するのも一つの手段です。また、不動産会社の査定も1社のみだと相場がわからず、相場より低い額になる可能性もあります。

安く買い叩かれないためにも、不動産会社を複数選んで査定するのがおすすめです。

不動産評価額は目的に応じて活用しよう

不動産の価値を示す不動産評価額は「固定資産税評価額・公示地価・基準地価・路線価・実勢価格」の5つの種類があり、それぞれ評価額に違いがあります。

目的に応じて必要な項目を確認し、不動産価値を調べると良いでしょう。また、不動産評価額はあくまで目安であり、実際の取引額とは異なります。

不動産会社の査定も検討しつつ、不動産評価額を上手に活用してみてはいかがでしょうか。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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