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再建築不可物件は売却できる?売却時の注意点や再建築可能にする方法を解説

2024.04.20

再建築不可物件は売却可能です。ただし、用途が限定されることで価値が下がり、住宅ローンが組みにくいことから買主が見つかりにくいのが現状です。

そこで本記事では、売却方法や売却時の注意点を解説します。また、再建築不可物件を再建築可能にする方法も紹介しているので、売却しやすくなるコツを知りたい方は参考にしてみてください。

再建築不可物件とはどんな物件?

再建築不可物件とは、都市計画区域と準都市計画区域のみに分布する、接道義務を果たしていない物件です。

住宅の建設が制限されている市街化調整区域にある場合や、法に反していることから新築や増築に必要な建築確認申請の許可が下りないため、再建築は認められていません。

接道義務を果たしていない物件

再建築不可物件とは、建築基準法が定める接道義務を果たしていない土地に建つ物件のことです。接地義務の要件を満たしていないため、今ある建物を解体すると新たな建物の建設はできません。

接道義務とは、建築基準法が定める幅員4m以上の道路に、建物の敷地が2m以上接していなければならないルールのこと。消防車や救急車などの緊急車両の通路を確保するため、1950年に制定されました。

なお、接道義務が定められているのは、都市計画区域と準都市計画区域のみです。

再建築不可物件が再建築できない理由は2つ

再建築不可物件が市街化調整区域にある場合、再建築はできません。

先述した接道義務が定められている都市計画区域は、街の活性化を促す市街化区域と、市街化を抑制する市街化調整区域に分けられます。このうち市街化調整区域は原則住宅の建設が認められていないため、建物を解体しても再建築はできません。

また、再建築不可物件は建築基準法に反していることから、新築や増改築の際に必要な建築確認申請に通らないことも再建築できない理由の一つです。

再建築不可物件は売却できる?

再建築不可物件の売却は可能です。

ただし、用途が限定されることから需要が低く、簡単に売却できる不動産ではありません。また、制約のある物件は担保価値が下がりやすく、住宅ローンを組みづらいデメリットもあります。

再建築不可物件は売却がしにくい理由2つ

再建築不可物件を売却しにくい理由は、購入しても建築の制限があることと、買主が住宅ローンを組みにくいことの2つです。以下で、詳しく解説します。

1.建築の制限があるため

再建築不可物件は購入しても増築や再建築ができないため、土地の用途が限定されます。そのため、通常物件と比較すると需要が低く、売却しにくいのがデメリットです。リフォームは認められますが、建築確認申請が必要な大規模改修や建て替えはできません。

再建築不可物件を購入しても利用目的が制限されるうえに、解体しても建物を再建築できないため、なかなか買主が見つからず売却しにくいのです。

2.住宅ローンが組みにくいため

買主が購入の際に住宅ローンを組みにくいことも、再建築不可物件を売却しにくい理由の1つです。金融機関は、融資の可否を物件の担保価値によって判断します。しかし、用途に制約のある再建築不可物件は、担保価値として不十分と見なされることも。

住宅ローンが利用できなければ、一括購入やより金利の高い住宅ローンに申し込みをしないといけません。そのため買主が限定され、売却するのが難しくなります。

再建築不可物件の4つの売却方法

再建築不可物件の売却方法は、不動産会社に仲介を依頼するか売却を相談する、隣人へ売却する、隣人と一緒に売却するの4つがあります。それぞれメリットとデメリットがあるのでよく確認してから検討してみてくださいね。

1.不動産会社に仲介を依頼する

再建築不可物件にかかわらず、不動産会社の仲介はメジャーな売却方法です。仲介は売主と買主の間に不動産会社が入って取引を行います。次に紹介する買取と比較すると、高値で売れる可能性があるのがメリットです。

しかし、先述のとおり、再建築不可物件は住宅ローンが組みにくいため買主が限定されます。また建て替えができないこともあり、売却価格は相場の5〜7割程度になることはデメリットといえるでしょう。

2.不動産会社に買取を依頼する

不動産会社に仲介を依頼しても売却できなかった場合や、時間をかけずにすぐに売却したい場合は、不動産会社に買取を依頼するのも一つの方法です。買取は不動産会社が直接物件を買い取るため、仲介に比べて取り引きが早く、仲介手数料が発生しないことがメリットです。

しかし買取にもデメリットがあります。不動産会社は買い取った物件に価値をつけてから中古物件として販売するため、仲介に比べて売値が下がることがほとんどです。仲介か買取か判断が付かない場合も、一度プロの不動産会社に相談してみると良いでしょう。

3.隣人に売却する

隣地の所有者が増築を検討している場合、買い取ってもらえる可能性があります。再建築不可物件でも隣地と一体となり、接道義務を果たせられれば再建築可能な物件として活用することが可能です。隣人にとってメリットが大きければ、スムーズに高値で売却できるかもしれません。

しかし手続きが複雑だったり、金銭トラブルが生じたりする可能性もあり、デメリットも多い売却方法です。個人でも取り引きは可能ですが、契約は不動産会社に任せると安心できますよ。

4.隣人と一緒に売却する

隣人も不動産の売却を検討している場合は、一緒に売却する方法もあります。前述した通り、隣地と一体化させることで接道義務を果たせられれば再建築可能物件となるためです。
それぞれ単体で売却するよりも市場相場に近い価格で売却できる可能性があるため、相談できる間柄であれば声をかけてみてもよいでしょう。

しかし一緒に売却する場合もデメリットは同じです。手続きを進める中でトラブルに発展しないよう、契約はプロの不動産会社に任せることをおすすめします。

再建築不可物件を売却するときの注意点4つ

再建築不可物件を売却する際は、建物の解体やリフォームに関して注意が必要です。他にも、売却期間が長くなる可能性や複数の査定会社に依頼する重要性も理解しておかなければいけません。ここでは売却する際の注意点を4つ解説します。

1.建物の解体は避ける

再建築不可物件は、先述のとおり一度解体してしまうと再建築できません。不動産の価値が下がることから、さらに売却しづらくなってしまいます。

また、解体することで減税措置が適用されず、固定資産税や都市計画税が増額することも避けては通れません。さらに解体費用も賄う可能性があるため、売却を検討している場合は、解体を避けるのが賢明です。

なお、空き家の固定資産税については以下の記事で解説しています。
放置すると空き家の固定資産税が6倍に!維持にかかる税金と増税する原因を解説

2.リフォームは慎重に

再建築不可物件のリフォームは、買主の需要に沿って慎重に行うことが大切です。独断のリフォームは買主の好みに合わなかったり、使い勝手を左右したりすることもあるため、購入検討者をさらに狭めることになりかねません。

不要なリフォームで費用を無駄にしないためにも、焦らずまずは不動産業者にリフォームの必要性も含めて相談すると良いでしょう。

3.売却までに時間がかかる

再建築不可物件は、住居よりも投資目的として購入されます。買主は、物件を購入するまでに利益が見込めるか判断するため、売却までに時間がかかることがほとんどです。

まず、買主は物件が第三者に賃貸として貸し出せる状況かを確認します。そのままで貸し出しができない場合は、リフォームプランを検討。その上で利益が見込めると判断した場合は購入に踏み切ります。

このように、通常の不動産よりも買主が検討する時間がかかるため、売却まで長期間を要することを心得ておきましょう。

4.査定は一社に絞らない

再建築不可物件の査定は、一社に絞らず複数の不動産会社に依頼しましょう。なぜなら、投資用住宅の売却が得意な会社や、住居用売却がメインの会社など、不動産会社によって強みや弱みが異なるからです。

査定額はもちろん、販売戦略や担当者との相性の判別も可能です。複数社を比較して最適な業者を選ぶと安心した不動産取引を任せられますよ。

再建築不可物件を再建築可能にする方法3つ

再建築不可物件を再建築可能にするには、接する道路の幅員条件を満たすためにセットバックを行ったり、道路に接する敷地を確保するために隣地を購入・借用したりするのが有効です。ここでは、再建築可能物件を再建する方法を3つ紹介します。

1.セットバックして再建築可能にする

セットバックとは、建物を建てる際に前方の道路から後退させてその範囲で建築することです。建物前方の道路が幅員4m以上を満たしていない場合は、セットバックエリアを設けることで接道義務を果たし、再建築可能にします。

2.隣地を購入するか借りる

繰り返しになりますが、隣地を購入するか借りることで、接道義務を果たし再建築可能にできます。協力を仰げるか、まずは隣地の所有者に相談してみるとよいでしょう。

3.特定行政庁に申請を出す

特定行政庁に申請することで、再建築が可能となる場合があります。建築基準法第43条によると、以下のような場合は再建築不可物件に該当しません。

その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

引用:建築基準法第43条

つまり、接道条件を満たしていない場合でも、上記の基準を満たせば再建築の許可を得られるということです。ただし、申請しても必ず通るわけではないため留意しましょう。

再建築不可物件を売却するときは慎重に

再建築不可物件は接道義務を果たしていないため、用途に制約があることで買主が限定され、再建築や大規模な改修はできません。独断でリフォームや解体はせず、まずは隣地の所有者に相談したり、行政に申請したりすることで売却しやすくなります。売却方法を4つ紹介しましたが、自分で判断せずにプロの不動産会社へ相談し慎重に行いましょう。

既に不動産会社に仲介を依頼しているが、買主が見つからず売却活動が長期化している場合は、売りにくい物件の買取を行う住栄都市サービスに一度ご相談ください。

再建築不可物件の売却相談なら住栄都市サービス

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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