空き家を管理するなら、草刈りは必要です。草刈りをしないと、特定空き家に指定されたり、隣人トラブルに発展したりとさまざまな問題が起こります。
草刈りは自分でもできますが、空き家まで出向くのが難しい場合は業者に依頼するのも一つの手段です。この記事では草刈り方法や、業者に頼む場合の費用相場について解説します。
目次
空き家の草刈りは必要?やらないと起きる4つの問題
空き家の草刈りは手間がかかるものですが、放置しているとさまざまな問題が起きます。「特定空き家に指定」「売却価格が下がる」「犯罪」「隣人トラブル」について詳しく説明します。
1.景観を損ねて「特定空き家」に指定される
「特定空き家」とは、安全、衛生、景観に悪影響を与える空き家として指定されるものです。
手入れされていない空き家は近隣の迷惑となるため、行政からの指導が入ります。それでも改善されない場合は、特定空き家に指定されるのです。
特定空き家に指定されると、通常適用されている「固定資産税の減額措置」が適用されなくなるため、税金が跳ね上がってしまいます。空き家の固定資産税については以下の記事に詳しく記載しています。
放置すると空き家の固定資産税が6倍に!維持にかかる税金と増税する原因を解説
2.売却時の価格が下がる
適切に管理されていない空き家は、想定していた価格より売却価格が下がる可能性があります。なぜなら、不動産の査定には、景観や管理状況も反映されるからです。
空き家をなるべく高く売却したい場合は、草刈りは必須と言えるでしょう。
3.犯罪に利用される
放置された空き家は、人の気配がないため犯罪に利用されやすいものです。特に草が伸び放題の空き家は、草木が侵入した犯罪者の姿を隠してしまうため、不法投棄や放火などの犯罪が起きやすいのです。
放火で隣家に火が燃え移るなど、近隣に迷惑をかける事態になった場合、その責任を問われるのは所有者です。そのようなことにならないよう環境整備をしておく必要があります。
4.隣人トラブルになる
草刈りをせず放置していると、隣人トラブルに発展する可能性があります。よくあるトラブルに以下のようなケースがあります。
・草木が伸びて隣家の敷地内に侵入した
・雑草が原因で、近隣にアレルギーや喘息などの健康被害を及ぼした
・害虫や悪臭などが発生した
最悪の場合、隣人から損害賠償請求される可能性もあるため気をつけましょう。
空き家の草刈り方法3つ
草刈りを効率的に行うには、3つの方法があります。「草刈り機」「除草剤」「専門業者」について説明します。
1.草刈り機を使う
草刈り機があれば作業時間が短縮できます。草刈り機にはさまざまな種類がありますが、広範囲の草刈りが必要ならコードレスタイプがおすすめです。コードが届かないという心配もなく、ストレスフリーで動き回れます。
他にも、パワーがあり長時間使用できるエンジン式や、自動で前進する自走式、自動草刈りロボットなどもあります。
家庭用の草刈り機は、安いものでは9,000円ほどから手にいれることができます。一度購入すれば何度も使えるので、買っておいても損はないでしょう。
2.除草剤を使う
除草剤を使えば、雑草の上から撒くだけで手軽に除草できます。ただし、除草剤は薬品なので、健康被害に注意しながら使用することが大切です。
除草剤は、大きく土壌処理型と茎葉処理型の2種類に分けられます。用途によって使い分けましょう。
茎葉処理型 | 薬液を草に直接かけるタイプ。今生えている雑草を枯らす効果がある。 |
土壌処理型 | 粒剤を土にかけるタイプ。新たに雑草が生えるのを防ぐ。 |
3.専門業者に依頼する
草刈り専門の業者や造園業者、ホームセンターにお願いするのも一つの手段です。空き家が自宅から遠い人や、多忙で草刈りの時間が取れない人、自分で草刈りをしたくない人におすすめです。
業者に依頼する場合のメリットやデメリット、費用相場は以下で詳しく解説します。
空き家の草刈りを専門業者に依頼するメリットとデメリット
草刈りを専門業者に頼む場合、3つのメリットがあります。その一方でデメリットもあります。以下で詳しく説明します。
メリットは3つ
専門業者に依頼するメリットは以下の3つです。
1.自分では処理できないほど生えた草も除去してくれる
個人では対応できないケースでも、業者に頼めばきれいにしてくれます。
例えば、空き家を放置した結果、自分では処理できないほど雑草が生い茂ってしまった場合などです。専門業者に頼めば、その知識と経験を活かして対応してくれます。
2.隣人に配慮した作業をしてくれる
専門業者なら培ったノウハウを活かし、隣家の迷惑にならないよう対処しながら作業を進めてくれるので安心です。
作業に慣れていない人が草刈りをすると、除草剤の匂いや草刈り機の騒音などで近隣に迷惑をかけることも。専門業者ならきちんと配慮してくれます。
3.出向かなくても作業してもらえる
業者に頼めば、自分が現地に出向く必要はありません。空き家が遠い場所にある人や、草刈りの時間も取れないほど多忙な人には、大きなメリットを感じられるはずです。
デメリットはお金がかかること
自分で草刈りすればお金はかかりませんが、業者に依頼すればコストがかかります。土地の面積や作業時間によっては高額になることもあります。
しかし、空き家まで交通費をかけて通うよりも安く済むこともあるので、まずは実際の費用を比較して検討すると良いでしょう。
空き家の草刈りを業者に依頼するときの費用相場
業者の費用は、大きく「基本サービス」と「オプション」に分けられます。それぞれの費用相場も含め、以下で詳しく解説します。
業者によって費用計算の方法は異なる
草刈りの基本サービスの費用は、業者によって費用感が大きく異なります。料金の計算方法が業者によって異なるためです。
草刈りの料金の計算方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
・面積単位
1平方メートルもしくは1坪×草刈り面積で費用を算出する方法です。
面積 | 費用相場 |
---|---|
50平方メートル(15坪)まで | 7,000~25,000円ほど |
50〜165平方メートル(15〜50坪) | 12,000~18,000円ほど |
165〜330平方メートル(50坪~100坪) | 20,000〜40,000円ほど |
330〜660平方メートル(100坪~200坪) | 35,000~80,000円ほど |
・時間単位
1時間もしくは1日の単位で費用を算出する方法です。なお、作業方法によっても費用が異なります。
時間 | 費用相場 |
---|---|
1時間単位 | 作業者1名につき3,000円ほど(出張費は別途加算) |
30分追加ごと | 作業者1名につき3,000円ほど |
・除草の量
草刈りの処分量で費用を算出する方法です。雑草の丈を基準に算出します。
雑草の丈の高さ | 費用相場(1平方メートルあたり) |
---|---|
50センチメートルまで | 150~200円ほど |
50〜100センチメートルまで | 160~250円ほど |
100〜150センチメートルまで | 170~300円ほど |
草刈り以外のオプション費用
上記の基本サービスの他に、以下のようなオプションをつけられます。
オプションメニュー | 費用例 |
---|---|
刈草の処分費用 | 50平方メートルごとに数千円程度 |
除草剤の使用 | 1平方メートルにつき300円~ |
防草シートを敷く | 織布1平方メートルにつき150円~(素材により異なる) |
蜂の巣駆除 | 7000〜12,000円 |
草刈り以外にも空き家の管理に必要な項目
空き家を管理するには、草刈り以外にも以下のような管理項目があります。
管理項目 | 目的 |
---|---|
換気 | 湿気を防ぎ、害虫やカビを防止する。 |
通水 | 排水管から下水の悪臭が上がってくるのを防ぐ。 |
ポスト点検 | 投函物が溢れ出ないよう管理することで、景観保全・放火などの犯罪を防止する。 |
清掃 | 建物の劣化を防ぎ、資産価値を維持する。 |
空き家の草刈りは定期的に行いトラブルを防ごう
空き家の草刈りをしないと景観や環境に悪影響を及ぼし、特定空き家に指定されるなどの問題が起こります。
草刈りは、草刈り機や除草剤を使用すると効率的です。空き家に通うのが難しい場合は、専門業者に依頼するのも良いでしょう。費用は業者によって差がありますが、個人で対処できないような雑草の対応も可能で、質の高い作業をしてもらえます。
なにより、通うのに時間や交通費がかかる場合は大きな恩恵を感じられるでしょう。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。