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空き家の解体費用の相場とは?安く抑えるコツ・費用がないときの対処法も紹介

2024.03.31

空き家の増加は日本全国で問題になっています。所有者の中には「解体したい」と思っていても、費用面がネックになっている人も多いはず。

しかし、空き家の解体費用はコツ次第で安く抑えることも可能です。本記事では解体費用の相場と内訳を始め、安く抑えるコツや費用がないときの対処法まで紹介します。

空き家の解体費用の相場

まずは、空き家の解体費用の相場を見ていきましょう。費用は地域や建物の構造、坪数、その他条件によって異なるため、それぞれの目安を紹介します。

地域別│空き家の解体費用の相場

空き家の解体費用は地域ごとに若干の差があります。沖縄県を除く、各都道府県の費用相場は次の通りです。

 

都道府県 家屋解体費用の坪単価相場
(木造30坪程度)
北海道 20,000~30,000円
青森県 25,000~35,000円
岩手県 25,000~35,000円
宮城県 20,000~30,000円
秋田県 20,000~30,000円
山形県 25,000~35,000円
福島県 25,000~35,000円
茨城県 25,000~35,000円
栃木県 25,000~35,000円
群馬県 25,000~35,000円
埼玉県 25,000~35,000円
千葉県 25,000~35,000円
東京都 30,000~40,000円
神奈川県 30,000~40,000円
新潟県 25,000~35,000円
富山県 20,000~30,000円
石川県 20,000~30,000円
福井県 25,000~35,000円
山梨県 25,000~35,000円
長野県 25,000~35,000円
岐阜県 25,000~35,000円
静岡県 25,000~35,000円
愛知県 25,000~35,000円
三重県 25,000~35,000円
滋賀県 25,000~35,000円
京都府 25,000~35,000円
大阪府 25,000~35,000円
兵庫県 25,000~35,000円
奈良県 25,000~35,000円
和歌山県 25,000~35,000円
鳥取県 25,000~35,000円
島根県 25,000~35,000円
岡山県 25,000~35,000円
広島県 25,000~35,000円
山口県 25,000~35,000円
徳島県 25,000~35,000円
香川県 25,000~35,000円
愛媛県 20,000~30,000円
高知県 20,000~30,000円
福岡県 25,000~35,000円
佐賀県 20,000~30,000円
長崎県 25,000~35,000円
熊本県 20,000~30,000円
大分県 20,000~30,000円
宮崎県 20,000~30,000円
鹿児島県 25,000~35,000円

※引用元:クラッソーネ│一戸建て解体費用の坪単価(地域別相場)

特に東京と神奈川は高く、最安値の北海道の約1.5倍はかかります。東京都内の木造30坪を一棟解体する場合は、150万円~が目安です。

地域によって費用に差があるのは、産業廃棄物の処理にかかる費用や人件費、住宅の密集度の違いが主な理由です。

構造別│空き家の解体費用の相場

空き家の解体費用は住宅の構造によっても異なります。最も安いのは木造で、高くなりやすいのは鉄筋コンクリート造です。1坪あたりの費用相場は次の通りです。

構造 1坪あたりの費用相場
木造 3~5万円/坪
鉄骨造 6~7万円/坪
鉄筋コンクリート造(RC) 6~8万円/坪

 

坪数別│空き家の解体費用の相場

空き家の解体費用は「建坪×坪単価」で、ある程度の目安を計算できます。建物の規模が大きいほど解体にかかる時間・労力が多くなるため、その分費用も高くなります。坪数と構造別の費用目安は次の通りです。

建坪 木造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造(RC)
30坪 90万~150万円 180万~210万円 180万~240万円
40坪 120万~200万円 240万~280万円 240万~320万円
50坪 150万~250万円 300万~350万円 300万~400万円

 

追加費用│空き家の解体費用の相場

空き家を解体する際は、「付帯工事」と呼ばれる建物の解体以外の工事費用が追加される場合があります。付帯工事の費用目安は次の通りです。

工事の種類 費用の目安
家屋内の残置物撤去 8,000~1万円/約1平方メートル
ブロック塀の解体 1万円/1本
庭木の撤去 2,000~3,000円/約1平方メートル
庭石の撤去 1万円/約1t
倉庫の撤去 2万~3万円/1個
門・フェンスの撤去 2万円/1組

空き家の解体を考えたときは、上記の費用も含めた総額を念頭に置いておきましょう。

空き家の解体費用の内訳

空き家の解体費用の内訳を知っておくと、見積内容を比較する際に役立ちます。主な7つの項目を紹介します。

内訳1. 仮設工事費

仮設工事費とは、足場や養生シートを建物の解体現場に設置するための費用です。使用する養生シートの量が増えるほど、費用は高くなります。

「養生シートを使わなければ費用を抑えられるのでは」と思うかもしれませんが、養生シートの設置は解体現場の安全性を守るため、近隣住民へ迷惑をかけないために欠かせません。

養生シートがあれば、建物の解体時に起こりやすい粉じんの飛散や、工具・作業員の落下、騒音の発生などを防ぎやすくなるのです。

なお仮設工事費の費用は、足場の設置方法や養生シートの種類によって異なります。高くなりやすいのは複雑な足場を組むケースや、高価なシートを使うケースです。

そのほか、現場の状況や解体業者によっては、仮設トイレの設置費用やトラック進入用の養生鉄板なども仮設工事費に含まれます。

内訳2. 建物の解体工事費

解体費用の大部分を占めるのが、建物の解体工事費です。建物本体の撤去にかかる費用に加えて、人件費なども含まれます。工事の難易度が高く、多くの人手が必要な場合は人件費がかかるため、解体工事費が高くなりやすい傾向にあります。

内訳3. 付帯工事費

付帯工事は、相場の章で紹介した追加工事のことです。ブロック塀の解体や庭木・庭石の撤去など、建物の解体以外の工事も発生する場合は、その分の費用が追加で発生します。

撤去物の種類や数によって費用は変わるので、見積もりの段階でしっかり見てもらいましょう。

内訳4. 整地・清掃費

空き家の解体後は、土地を平らにする「整地」という作業が行われ、その費用が整地・清掃費として請求されます。なお「更地」と「整地」は別物です。

種類 概要
更地 土地の凸凹や石などが残っている状態
整地 土地を平らにして石なども撤去、地中に残留物がないか確認した状態

整地をすると土地がきれいな状態になるため、そのままの状態で新しい家を建てたり、駐車場にしたりと、活用の幅が広がります。更地よりも土地の売却金額が高くなりやすく、買い手が見つかりやすい点がメリットです。

なお、どの程度整地するのか、費用相場も業者によって異なるので、見積もりの段階で確認しておくと安心です。

内訳5. 重機回送費

重機回送費とは、解体工事に使用する重機を現場まで輸送する際の運搬費用や、現場周辺に重機やトラックを停めておくために必要な駐車場代のこと。

運搬費用は、重機の保管場所と解体現場の距離で代わり、遠くなればなるほど高くなるのが一般的です。相場は3~5万円程度ですが、解体業者によって差があります。

敷地内に重機が置ける場合は駐車場に停める必要がないので、その分だけ費用を抑えられます。

内訳6. 廃棄物処分費

空き家の解体時は、瓦礫やガラス、木材といった廃棄物の処分も必要です。廃棄物はリサイクル法に則って分別する必要があり、量が多いほど処分費は高くなります。

室内に家具・家電が残されていた場合は、それらの処分費もかかるため、通常より高額になりやすいでしょう。

内訳7. 諸経費

諸経費には近隣への挨拶費や、必要な手続きなどにかかる経費が含まれます。解体業者によっては「重機回送費」が諸経費に含まれていたり、「害虫駆除費」が上乗せされていたりする場合も。

諸費用に含む項目は業者によって異なるため、気になる場合は事前に確認しておきましょう。

空き家の解体費用を安く抑える4つのコツ

規模によるものの、空き家の解体には数百万円ほどかかることも少なくありません。しかし、自治体の制度を利用したり、解体業者や時期の選定を工夫したりすると、通常よりも費用を抑えられます。具体的な方法を4つ紹介します。

1. 自治体の補助金制度を活用する

自治体によっては空き家の解体に関する補助金制度があり、利用できれば費用を抑えられる可能性があります。

補助金制度の利用条件は自治体によって異なりますが、基本的には老朽化が進み、倒壊や火災などの恐れがある家に適用されるケースが多いようです。

ここで、実際の補助金制度を見てみましょう。

【東京都荒川区】

補助金名 古い空家住宅の解体費助成
助成額 ・解体に要する費用の3分の2の額
・かつ、1件につき100万円を上限とする
助成の条件 ・1年以上使用されていないことが確認できること
・住宅部分の面積が2分の1以上あること
・昭和56年5月31日以前に建築されたものであること
・区が現場調査等により倒壊等のおそれがあると判定したものであること
助成の対象者 ・空き家の所有者であること
・住民税、国民健康保険料等を滞納していないこと
自治体のURL 荒川区│古い空家住宅の解体費助成

【東京都墨田区】

補助金名 老朽危険家屋除却費等助成制度
助成額 ・除却工事費の2分の1で、上限50万円まで
・無接道敷地に存する不良住宅については、100万円
助成の条件 ・対象建築物の全部を除却(解体)し、更地とすること
・助成を受けようとする年度の2月末までに、工事を完了できること
・区の助成承認後に、着工すること
助成の対象者 ・空き家の所有者であること
・住民税を滞納していないこと
自治体のURL 墨田区│老朽危険家屋除却費等助成制度

【大阪府高石市】

補助金名 空き家除却補助制度
助成額 工事費用の2分の1、最大40万円
助成の条件 ・昭和56年5月31日以前に建築された家
・1年以上の居住や、その他使用実績がない木造住宅の空き家
自治体のURL 高石市│空き家除却補助制度

補助金の有無は自治体によって異なるため、空き家の解体を考えたときはまず確認してみましょう。

2. 複数の解体業者を比較する

相場の章で解説したように、空き家の解体費用は業者によって異なります。時間に余裕があれば複数社に見積もりを依頼して、工事価格を比較しておくのがおすすめです。

総額だけでなく、費用の内訳や工事の範囲、工期なども確認しておくと安心です。同じ条件の業者がある場合は、解体現場との距離が近い業者を選ぶと、重機回送費を抑えられるでしょう。

また解体業者を比較する際は、実績や施工事例、口コミといった信頼性も忘れずにチェックしておきましょう。信頼できる業者であれば、費用面でのトラブルは起こりづらいはずです。

3. 解体時期は費用を抑えられるタイミングにする

空き家の解体工事にかかる費用は、作業を行う季節や時期によっても異なります。費用が高くなりやすいのは、作業がしづらい梅雨や台風の時期、猛暑、降雪の季節です。

そのほか、繁忙期である12月~3月も高くなりやすい時期とされます。気候は地域によって異なりますが、費用を抑えたいのであれば4月~5月頃と、10月~11月頃がねらい目でしょう。

4. 不用品や庭木は自分で処分しておく

家の中や敷地内に残っているゴミや不用品は、解体業者が処分してくれますが、その分の費用が発生します。

廃棄物処分費を節約するためにも、以下のものはなるべく自分で片づけておきましょう。

<例>
・ガラス
・家具
・家電
・衣類
・庭木
・雑草

空き家の解体費用が高くなる3つのケース

家の立地条件や状態によっては、解体費用が高くなることがあります。主なケースを3つ見ていきましょう。

1. 道路状況・立地条件が悪い

解体工事では大きな重機を使用します。しかし道路が狭い、敷地面積が狭い、敷地いっぱいに家が建っているなどの理由で重機が入れないことも。その場合は手作業での取り壊しとなるので費用が高くなります。

そのほか、足場を組む余裕がなかったり、トラックを停めるスペースがなかったりする場合も、余計な手間や人件費がかかる分、費用が上がります。

2. 平屋、または地下室がある

平屋は基礎部分と屋根の面積が広く、造りが頑丈です。解体に時間がかかるため、二階建てよりも平屋の方が解体費用は高くなります。

また、二階建て以上の建物であっても、地下室があると解体に時間がかかる分、追加費用が発生します。

3. 自然災害・火災の被害に遭っている

自然災害によって空き家が破損・倒壊した場合は、敷地内に木材やガラスといった廃棄物が散乱しています。そのようなケースでは廃棄物の回収と分別に時間がかかるため、追加費用が発生することも。

そのほか、火災の被害に遭った家も同様です。作業中に倒壊しないよう、通常よりも丁寧に作業する必要があるため、費用が高くなりやすい傾向にあります。

空き家を解体するメリット

続いては、空き家を放置せずに解体するメリット・デメリットを紹介します。解体する主なメリットは次の通りです。

・近隣住民とのトラブルを防げる
・特定空き家への指定を回避できる
・解体することで売却しやすくなる
・空き家の管理にかかる手間を省ける

空き家を解体するデメリット

空き家の解体には、以下のようなデメリットも存在します。

・解体費用がかかる
・固定資産税が上がる可能性がある
・再建築不可物件の場合は、新たに家を建てるのが難しい

空き家の苦情はどんなものが多い?そのほかのトラブルや対策法を紹介

空き家の解体に関するよくある疑問・悩み

空き家を解体したいと思っても、費用面で壁にぶつかり、なかなか行動に移せない人も少なくありません。最後に、空き家の解体に関するよくある疑問と悩みを紹介します。

空き家の相続を放棄しても費用負担の義務はある?

相続が発生した家の解体費用を負担するのは、相続人と法律で定められています。相続を放棄した場合、費用負担の義務があるのは次順位の相続人ということになります。

ただし、相続を放棄しても管理義務は残るため、次の相続人が決まらない場合は自分が費用を負担する必要があります。

空き家の解体費用がない場合はどうすれば良い?

空き家の解体費用が足りない場合は、空き家解体ローンを活用する方法があります。

空き家解体ローンの借り入れ上限額は、300万円や1,000万円など金融機関によって異なりますが、低金利で返済期間を長く組みやすいのが特徴です。担保や保証人が必要ない金融機関もあるので、比較的気軽に相談しやすいでしょう。

そのほか、空き家バンクを活用する方法もあります。空き家バンクとは、「空き家の所有者」と「空き家に住みたい人」をマッチングさせる、自治体運営のサービスです。

ニーズがありそうであれば、解体するのではなく賃貸に出す、または売却する選択肢もあります。

空き家を解体すべきか迷う

空き家の状態や立地条件などによっては、解体せずそのままの状態で売却できます。解体すべきか迷った場合は、一度不動産会社に相談してみるのがおすすめです。

「なるべく早く空き家を手放したい」と考えている人は、ぜひ住栄都市サービスにご相談を。不動産屋が物件を直接買い取る買取方式を採用しているため、仲介方式よりスピーディーな売却を実現します。売却価格を確認した後、空き家を売却するか解体するか考えてみてはいかがでしょうか。

空き家のスピーディーな売却を実現する住栄都市サービス

空き家の解体は慎重に!売却も検討してみては

空き家の解体費用は地域や坪数によって異なるため、一概に「都心部の家だから高い」「田舎の家だから安い」とは限りません。

空き家の解体を考えた場合は、まず解体業者に見積もりを依頼してみましょう。思ったよりも費用が高額な場合や、好立地な場合は売却も検討してみてはいかがでしょうか。家族や親戚とも相談しつつ、後悔のない選択をしてくださいね。

【空き家売却】5つの相談窓口|相談事例や売却方法についても解説

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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