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空き家放置は罰則を受ける?罰金を受けるまでの流れを詳しく解説

2024.03.13

空き家の管理が行き届かず放置し続けた場合、50万円以下の罰金を受ける可能性があります。しかし空き家を放置したからといって、すぐに罰則になるわけではありません。

そこで本記事では、罰則を科せられるまでの流れや、罰則を受けないためにできることを解説します。また空き家放置によるトラブルまで紹介するので、空き家物件を保有している人は管理方法の見直しの参考にしてみてください。

空き家放置で罰則はあるの?

空き家の管理が不十分な場合、罰則を受ける可能性があります。「空家対策特別措置法」が2015年に施行され、「特定空き家」に対する取り締まりが強化されるようになりました。

「特定空き家」とは、管理が不十分で衛生や景観に影響を与えるほか、近隣住宅の生活環境の保全を損ないかねない空き家のこと。「特定空き家」に指定されると固定資産税の減税が適用されないため、負担金額は6倍になります。また、自治体からの改善命令に背いた場合は、50万円以下の罰金が科せられることも。

さらに、2023年12月に空家等対策の推進に関する特別措置法第5条(以下、空家法とする)が新設され、所有者は空き家の適切管理に努めるほか、行政の施策に協力することが求められるようになりました。このため、より一層空き家対策を強化する必要があります。

なお、空き家の固定資産税については、こちらの記事を確認してください。

放置すると空き家の固定資産税が6倍に!維持にかかる税金と増税する原因を解説

空き家放置の罰則までの流れ

空き家放置の罰則が実際に科せられるまでの流れは、7つの段階があります。空き家を放置してもすぐに罰則が科せられるわけではありません。しかしそれぞれの段階に応じなければ、さらに重い措置が施行されます。近隣住民と持ち主のためにも、なるべく早い段階で対応しましょう。7つの段階を、それぞれを詳しく解説します。

1.調査

長らく空き家の状態が続いている建物に対し、まず行われるのは自治体による調査です。空家法第9条に基づき立入調査が行われるほか、固定資産税の情報や水道・電気の使用状況などを開示請求し、所有者の把握が行われます。調査のきっかけは、近隣住民からの苦情や相談があった場合がほとんどです。

2.認定

調査の結果、管理不十分と判断された空き家は「特定空き家」に認定されます。空家法第2条による「特定空き家」の定義は次のとおりです。

「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
引用:空き家法第2条

つまり、次のような状態にある空き家は「特定空き家」に該当します。

・老朽化し倒壊などの危険性がある
・アスベストの飛散やごみによる異臭など、衛生上で有害となるおそれがある
・窓ガラスの破損や外壁の落書きなど、著しく景観が損なわれている
・敷地外に侵入した立木の枝や野生動物の生息から生ずる汚物などにより、生活環境に悪影響を及ぼしている

3.助言・指導

自治体は調査と認定の後、所有者に助言・指導を行います。助言は一番軽い指導段階で、法的な拘束力はありません。そのため、対応するか否かは所有者に委ねられています。ただし、隣人トラブルを防ぐためには早めの対処が必要です。

一方、指導は助言よりも重い指導段階です。近隣住民のためにも、早急な空き家の状態改善が求められます。

4.勧告

自治体の指導を受けても問題が改善されない場合は、勧告を受けます。勧告は指導からさらに重い行政指導で、近隣住民に被害を与える可能性のある状態です。

また勧告を受けると、固定資産税と都市計画税の減額が適応されなくなります。よって、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍の金額を負担しなければなりません。

5.命令

勧告を受けてもなお状態に改善がみられない場合は、自治体から空き家の適切な管理を命令されます。命令が発せられるのは、建物の倒壊や火災の発生など、周辺環境に悪影響を及ぼす危険な状態にある場合です。

助言・指導・勧告とは異なり、命令に応じなければ先述のとおり50万円以下の罰金が科せられます。

6.戒告

命令されても改善に応じない場合は、文書で戒告されます。書面に記載される内容は、期間内に空き家の適切な措置を行わなければ行政代執行を行う旨です。戒告を受けたら速やかに自治体の指示に従いましょう。

なお、どうしても期間内に改善が難しい場合は、いつまでに実施できるのかを自治体にあらかじめ表明することが大切です。

7.行政代執行

戒告を受けても期間内に何も措置をしなかった際に、行政代執行が行われます。措置済みでも不十分な場合や、期間内に措置が完了する見込みがない場合も、同様に施行される可能性があります。

行政代執行とは、行政が指定した解体業者が除草や樹木の伐採、建物の解体を行うこと。このときに生じた費用は、全て所有者に請求される仕組みです。

なお、行政代執行が実施される前には、実施する期間、責任者の指名、費用の見積額などが記載された代執行令書が発行されます。しかし、戒告と代執行令書による通知は、緊急性が高い場合や非常であると判断された場合には省略されることもあります。

罰金を科せられたり、突然解体されたりしないように、助言・指導の段階で改善するようにしましょう。

空き家放置の罰則を受けないためにできること

空き家放置による罰則を受けないためには、予め管理を徹底することが基本です。管理が難しい場合は売却や解体も一つの手段。

使用予定のない空き家を所有している場合は、近隣住民に迷惑をかける前に、責任を持って対処しておきましょう。

管理を徹底する

空き家を残す意思があるなら、管理を徹底する必要があります。定期的に換気や清掃、草刈りなどを行って適切な景観を保ちましょう。

また、雨漏りがないか点検することも大切です。雨漏りを放置すると柱や壁などの木材が腐敗したり、カビの原因となったりする可能性があります。カビが増殖すればシロアリが発生し、建物を食い荒らすことで倒壊にもつながりかねません。確認を怠らないようにし、必要があれば修繕しましょう。

売却する

空き家の管理が難しい場合は、売却を検討するのも方法の一つです。しかし、中古戸建の売却価格は低くなる傾向があります。

空き家を売却するには以下の相談窓口を活用することをおすすめします。

・不動産会社
・司法書士・行政書士
・解体業者
・近隣住人
・地方自治体

自身の都合やニーズに合わせて最適な相談窓口を検討したい方は、こちらの記事を確認してみてください。

【空き家売却】5つの相談窓口|相談事例や売却方法についても解説

解体する

売却活動をしても買い手が見つからない場合は、解体して土地として売る方法も検討してみてください。更地で売り出したほうがスムーズに売却できる可能性があります。

ただし、解体の費用負担は避けては通れません。助成金が利用できる自治体もあるため、気になる方は問い合わせてみるとよいでしょう。

また、解体して更地にした場合は、固定資産税の優遇が受けられず減額が適応されなくなるため注意が必要です。

空き家放置で起こるトラブル

空き家を放置することで生じるトラブルは以下のとおりです。

・家の倒壊
・火災の発生
・景観・衛生面の悪化
・犯罪の誘発

建物は定期的に手入れをしなければ老朽化が進み、柱や壁が腐敗すると倒壊する恐れがあります。また、人の出入りのない建物は放火やタバコのポイ捨てなどから火災につながる可能性も。雑草が生い茂りゴミが不法投棄された状態では、景観を損ねてしまいます。さらに、不法侵入や盗難といった犯罪の火種にもなりうるでしょう。

空き家のトラブルを未然に防ぐには、徹底した管理が欠かせないのです。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

空き家問題の現状とは?放置のリスクと対策方法

空き家放置の罰則を受ける前に適切な対処を

空き家は放置すると老朽化が進み、倒壊や火災などを引き起こし近隣住民の生活を脅かしかねません。「特定空き家」に指定されれば固定資産税の負担が増え、最悪の場合、50万円以下の罰金を支払わなければならないこともあります。

行政から通達がきた場合は速やかに対策することはもちろん、空き家を所有するなら定期的に点検を行い管理を継続していくことが大切です。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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