ログ記事 Blog Article

隣人が孤独死していたら?周囲への影響や発見時の対応方法、家の売却方法を解説

2025.02.23

近年、高齢者や中高年の一人暮らしが増え、「孤独死」が社会問題になっています。マンションなどで「隣の部屋の人が孤独死しているかもしれない」と感じたら、動揺して何をすべきかわからない人が多いでしょう。

この記事では隣人が孤独死していた場合における、周囲への影響や発見時の対応方法、家の売却方法を解説します。

孤独死とは

孤独死とは、主に一人暮らしの人が誰にも看取られることなく、一人で亡くなることです。したがって長期間亡くなったことに気づかれない状態が起こりえます。社会から孤立した状態で亡くなるので「孤独死」と呼ばれています。

親族や周囲との接点があっても、死亡時に一人でいた場合は孤独死と定義され、自殺も孤独死に含まれます。

孤独死リスクが高い人の特徴

孤独死は誰にでも起こりえますが、特に一人暮らしの方、高齢の方などは孤独死のリスクが高まります。ここでは孤独死リスクが高い人の特徴について具体的に説明します。

一人暮らしである

パートナーとの離別や死別、子どもの独立などにより一人暮らしになった時、体調の急変などに気づかれず、孤独死のリスクが高まります。また、死別などで急に一人暮らしになってしまった方は孤独感を強め、うつ病や自殺につながる場合もあるでしょう。

高齢者である

孤独死の死因は半数以上が病死です。高齢になると持病を持っていたり、健康状態が悪かったりすることも多いので、リスクが高くなってしまいます。

親戚や友人、近隣住民との交流が少ない

住まいの近くに頼れる人がおらず、親戚や友人との交流が少ないうえ、社会的に孤立している方は、孤独死のリスクが高くなります。趣味などがなく、家に篭りがちな方も社会との接点が少ないので、孤独死につながりやすいとされています。

男性である

2021年の一般社団法人日本少額短期保険協会のレポートによると、2020年度の孤独死の男女比は男性が8割で、女性よりも圧倒的に割合が多いと報告されています。男性は女性よりもコミュニケーションが頻繁ではないことから孤立しやすく、亡くなってからの発見も遅れやすいとされていることが理由です。

孤独死の疑いがある場合の対処方法

隣人の孤独死が疑われる場合、現状を確認し、適切に対応することが重要です。落ち着いて冷静に行動することを心がけ、必要に応じて大家や管理会社、警察に連絡しましょう。

①大家や管理会社に連絡する

隣人の異変を感じたら、まずは大家や管理会社に連絡してください。その際には以下の3点をはっきりと伝えましょう。

①連絡した目的・理由
・隣人の安否確認のためなど
②隣人から大家への連絡の有無
・入院中や旅行でしばらく家を空けていることがある
③現況の説明
・ハエが大量発生している、郵便物が溜まっているなど
慌てずに、なるべく多くの正確な情報を伝え、早急に安否確認などの対応をしてもらってください。必要に応じて警察や特殊清掃業者への依頼などを行ってくれます。

②死亡しているのが明確な場合、警察に通報する

部屋から明らかな異臭がするなど、死亡していることがわかる場合には警察にも通報しましょう。連絡した理由、状況、隣人についての情報などを正確に伝えてください。事件が疑われる場合もあるので、遺体には絶対に触ってはいけません。

孤独死が周囲に与える影響

隣人が孤独死している場合、ハエなどの害虫や臭いが発生します。物件自体にも被害を与えるなど、周囲に大きな影響を与えます。

ハエなどの害虫が発生する

孤独死が発生すると、ハエやウジ虫などが発生します。人は死亡すると体の腐敗が始まり、ハエはその腐敗臭に引き寄せられてきます。

ハエは換気扇や小さな隙間から容易に室内に侵入でき、腐敗した遺体に卵を産みつけます。一度に卵を100個以上産み、孵化までの期間も短いので爆発的に増えてしまうのです。そのハエが周囲を飛び回ることで、隣の部屋に侵入するなどの害虫被害が発生してしまいます。

異臭がする

まず孤独死が発生した部屋では、生ごみが腐ることで異臭が発生します。そして遺体が長期間発見されないと、遺体の腐敗臭が部屋にこびりついてしまうことも。

腐敗臭は、遺体が微生物などに分解される過程で発生する臭いです。遺体を放置してしまうと化学反応が進み、アンモニアなどの強烈な刺激臭を発生させてしまいます。その臭いが隣や近隣まで届いてしまい、部屋や周辺に臭いが移ってしまうのです。その結果、食欲不振や不眠など、生活や体調に悪影響が出てくる恐れもあります。

建物の資産価値が低下する

遺体の発見が遅れるほど、腐敗臭は周囲に広がり、物件へのダメージも大きくなるでしょう。孤独死の臭いなどの影響は、マンションなどでは両隣の部屋だけでなく上の階、下の階にも影響を与えていきます。

個人で腐敗臭を取り除くのは難しいので、特殊清掃業者に依頼することが必須です。影響がひどければ、カーテンの買い替えやリフォームなどが必要になってくるかもしれません。もし隣人の部屋が事故物件に該当してしまうと、建物の資産価値が低下してしまう可能性もあります。

心理的にマンションに住み続けるのが困難なら、引越しを検討する

孤独死が発生し、この場所で生活し続けるのが難しいと感じている場合、早急に引っ越しの準備を始めましょう。一時的な避難であっても、すぐに検討することをおすすめします。ストレスを抱えながらの生活は、仕事や私生活に支障をきたすため、家から離れて心理的な負担を軽減させるのがとても重要です。

この場合の引越し費用は基本的に自己負担です。大家や遺族は基本的に被害者であり、賠償義務はありません。しかし、別物件への一時避難などを交渉する余地はあるかもしれないため、大家や管理会社と相談してみてください。保険に入っている場合、保証が下りることがあるため、保険会社にも問い合わせてみましょう。

孤独死した隣室を売却する方法2選

事故物件とは、過去に犯罪や自殺などで人が亡くなり、そこに住む人に心理的抵抗感が発生する物件のことです。マンションで隣人が孤独死していても、基本的に隣室は事故物件に該当しません。ただし、事故の内容次第では隣室も事故物件に該当する場合もあるので注意しましょう。

そのような物件は売却することで心理的抵抗感をなくせます。物件の売却方法には、仲介と買取の2つの方法があります。

①仲介業者に相談する

売却方法の一つは、仲介業者を通じて売却をすることです。たとえ隣人が孤独死しても、所有している物件は事故物件ではありません。そのため告知義務は発生せず、購入希望者を募りやすいことから、希望価格で売却できる可能性があります。通常の不動産売買のため、物件の立地条件などが重視されます。

なお、告知義務はないものの、買い手側が知った場合に精神的負担を抱える可能性はあります。トラブル回避のために告知すべきかどうかは、不動産会社とよく相談しながら決めてください。

②隣人トラブルに強い買取業者に相談する

告知義務が発生した場合や、すぐに売却したい場合には買取業者に相談しましょう。業者自身が不動産を買い取ってくれるため、短期間での売却が可能です。事故物件や近隣トラブルに強い買取業者なら、より高く買い取ってくれる可能性が高くなります。

いずれにしても複数の不動産会社に見積もりを依頼し、比較してから不動産会社を選んでください。

孤独死が疑われる場合、まずは大家に連絡!その後、引越しや物件の売却を検討しよう

孤独死は誰でも直面する可能性があります。孤独死を防ぐことが一番良いですが、発生してしまった場合には冷静に対応できるようにしておきましょう。

孤独死が発生してしまった後、同じマンションでの生活に負担を感じるなら、早めに引越し・売却してしまうことがおすすめです。隣人トラブルに強い不動産会社もあるので、一度相談してみてください。

不動産でのお困りごとはこちらから お気軽にご連絡ください!

不動産所有や不動産売却についてのご不安などお聞かせください!

監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

お問合せはこちら

一覧へ戻る