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離婚後に家を手放すかどうかは、住宅ローンの状況や家族の生活設計によって異なります。ローン返済が難しい場合や住む意思がない場合は売却が現実的ですが、住み続ける選択肢も条件次第で可能です。
本記事では、家を手放すべきかどうかを判断する基準と、財産分与における家の扱い方、売却時の具体的な方法についてわかりやすく解説します。
目次
離婚後に家を手放すべきか残すべきかを決める判断基準
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離婚後に家をどうするかは、家族の生活設計や経済状況に大きな影響を与えます。住み続けるか、手放すべきかを判断するためには、まず以下のポイントを確認しましょう。
住宅ローンの残債を確認する(オーバーローン・アンダーローン)
家の売却を検討する際には、住宅ローンの残債が家の市場価値を上回るか下回るかを確認することが重要です。これを把握することで、売却の可否や必要な手続きを判断できます。
【オーバーローンの場合】
家の市場価値よりも住宅ローン残債が多い状態です。この場合、売却益だけではローンを完済できず、自己資金で補填するか、金融機関と相談して任意売却を行う必要があります。任意売却が成立しない場合、最悪のケースとして競売にかけられる可能性もあります。
【アンダーローンの場合】
家の市場価値が住宅ローン残債を上回る状態です。売却後にローンを完済し、余剰分を財産分与に回すことが可能です。このような場合、売却は比較的スムーズに進むでしょう。
家族や自分の生活設計と経済状況を確認する
家を手放すか残すかの判断をする際には、家族の生活設計や離婚後の経済状況を慎重に考慮することが欠かせません。「家を手放したくない」という気持ちがあっても、住宅ローンの返済や維持費を一人で負担できるかを冷静に見極めることが重要です。
【住み続ける場合の条件】
家を維持するには、妻が財産分与で家をもらうという場合に、現在のローンの契約者が夫であるときは、住宅ローンを引き継ぐため妻に一定の収入があるなど経済的な余裕があることが前提となります。また、名義変更や金融機関の審査が必要であり、安定した収入が求められます。
【手放す場合の影響】
家を手放す場合、住み慣れた環境を離れることになりますが、売却によって得た現金を新生活の準備や財産分与に活用できます。特に子どもの通学や生活環境を優先する場合には、新しい住まいの選定が必要です。
離婚時の財産分与における家の扱い方とは
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離婚時に家は財産分与の対象となります。ただし、不動産には特有の問題があり、慎重な対応が求められます。
財産分与ではプラスだけではなくマイナスの財産も対象になる
財産分与では、家や不動産のような「資産」としてのプラスの価値だけではなく、住宅ローンという「負債」も考慮する必要があります。夫婦間で両方を公平に分けることが原則となるため、状況に応じた対応が求められます。
状況 | ポイント |
---|---|
ローンを完済している場合 | 家の市場価値がそのまま財産分与の対象 取得者はその価値の半分を代償金として相手に支払うのが一般的 |
住宅ローンが残っている場合 | ローン残債を考慮して家の価値を計算 (例:市場価値3000万円、ローン残債2000万円の場合、差額の1000万円がプラスの財産として扱われる) |
オーバーローンの場 | 市場価値がローン残債を下回る場合、家が負債とみなされる ローンの負担割合を話し合い、売却を検討することが多い |
もしも、財産分与の直後に離婚する場合は、家や住宅ローンの扱いについてしっかりと話し合い、後々のトラブルを防ぐことが重要です。
共有名義・単独名義の場合
家の名義が単独名義か共有名義かによって、離婚後の対応方法が異なります。
【単独名義の場合】
名義人がそのまま住む場合は比較的スムーズですが、財産分与としてもう一方に代償金を支払う必要があります。また、単独名義の場合は双方の同意がなくても家を売却できます。
【共有名義の場合】
離婚後もそのまま共有名義を続けるとトラブルの原因になる可能性が高くなります。そのため、単独名義にするか、家を売却するかを検討するのが一般的です。
もしも、名義変更をする際は金融機関の承認が必要で、新たな名義人がローンを引き継ぐには安定した収入と審査の通過が条件となります。審査が通らない場合、名義変更ができず、家を手放す選択肢を検討する必要があります。
離婚後に家を手放さない4つのケース
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離婚後でも、家を手放さずに維持する方が適している場合があります。以下のような状況に該当する場合は、家を残す選択肢を検討しましょう。
【1.家に住み続けたい場合】
子どもの通学や生活環境を守るため、家を維持する選択肢です。ただし、住宅ローンを引き継ぐには、安定した収入を証明し、金融機関の審査を通過する必要があります。
【2.住宅ローンを完済している場合】
ローン負担がない家は、維持コストが低く手放さずに残すメリットがあります。ただし、固定資産税や管理費用を長期的に負担できるかを確認することが重要です。
【3.家を賃貸として活用する場合】
自分が住まない家を賃貸に出し、収益を得る方法です。不動産会社に相談し、賃貸に出せるかどうかを確認しましょう。ローン契約内容や管理費用も事前にチェックが必要です。
【4.共有名義を解消し、一方が所有する場合】
一方が家を単独名義に変更して住み続ける選択肢です。この場合、名義変更には金融機関の同意が必要で、安定した収入や審査通過が条件となります。
離婚後に家を手放すべき5つのケース
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離婚後、以下のような状況に該当する場合は、家を手放すことを検討するのが現実的です。
【1.夫婦のどちらも住みたくない場合】
家に住む意思がない場合は、売却して公平に財産分与するのが適切です。新生活への移行がスムーズになります。
【2.ローン返済が困難な場合】
収入が減少し、住宅ローンの返済が厳しい場合は、家を売却してローン負担を軽減する必要があります。オーバーローンの場合は、金融機関と相談して任意売却を検討するケースもあります。
【3.家以外に分ける資産がない場合】
他に分ける資産が不足している場合は、家を売却して得た現金を財産分与に充てることが一般的です。公平な分配が可能になります。
【4.家が共有名義でトラブルの可能性がある場合】
共有名義のままでは、管理や意思決定でトラブルが発生するリスクがあります。売却することで名義問題を解消し、将来的なトラブルを防げます。
【5.家を管理する余裕がない場合】
維持費や修繕費の負担が難しい場合は、早めに売却して新生活の資金に充てるのが現実的です。管理負担から解放されるメリットもあります。
離婚後に家を手放す方法【買取・仲介】
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離婚後に家を売却する方法には、主に買取と仲介の2つの選択肢があります。
【買取】
不動産会社が直接家を買い取る方法です。売却までの期間が短く、迅速に現金化できるのがメリットです。ただし、市場価格よりも低い金額で売却することになる点には注意が必要です。
【仲介】
不動産会社を通じて購入希望者を見つける方法です。市場価格に近い高値で売れる可能性がありますが、売却までに時間がかかる場合があります。また、購入希望者が見つからず家が売れない可能性もあるため、急ぎの場合は買取を選択するのも一つの方法です。
家を手放す時の具体的な手順
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家を売却で手放す場合は、以下のような流れで行います。
【買取の場合の手順】
1.不動産会社に査定を依頼
2.売買契約の締結
3.引渡しと決済
【仲介の場合の手順】
1.複数社に査定を依頼して選定
2.不動産会社と媒介契約を締結
3.販売活動を開始
4.購入希望者との売買契約
5.引き渡しと決済
迅速に現金化したい場合は買取、高値での売却を目指す場合は仲介を選ぶのが一般的です。また、家が売れた場合は、売却代金で住宅ローンを完済し、余剰分を財産分与に充てるのが通常の流れとなります。
離婚して家を手放す際の注意点
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家を手放す際には、売却に伴う税金や諸費用が発生することを事前に把握しておくことが重要です。これらの費用を見落とすと、想定外の出費が発生し、手元に残る資金に影響を及ぼす可能性があります。
譲渡所得税が発生する可能性がある
家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税が課される可能性があります。譲渡所得は以下の計算式で求められます。
【譲渡所得の計算方法】
譲渡所得=売却価格ー(購入価格+諸費用+特別控除)
ただし、売却する家が自宅の場合、「3000万円特別控除」を利用することで税金を大幅に抑えられます。この制度では、売却する家が自宅であり一定の条件を満たしている場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除することが可能です。
譲渡所得税が実際に発生するかどうかは、家の売却額や控除の適用状況によります。条件が複雑な場合は、税理士に相談し、事前にシミュレーションを行うことをおすすめします。
以下の記事では、不動産の売買で頼れる専門家を紹介しています。
土地売却する時の相談先ってどこ?内容別で相談先の選び方を解説
家を売却する際は諸費用がかかる
家を売却する際には、さまざまな費用が発生します。
【家の売却にかかる主な諸費用】
・仲介手数料
・印紙税
・抵当権抹消費用
・ローン返済手数料
・引っ越し費用
など
家を売却する際にかかる費用は、売却価格の約4~6%が目安です。
家の売却にかかる費用の詳細は以下の記事も参考にしてください。
不動産売却にかかる費用一覧!費用を抑えるコツや売却の流れを解説
離婚後に家を手放すかどうかは状況に応じて判断を
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離婚後に家を手放すか残すかは、住宅ローンの状況や生活設計、財産分与の方法によって異なります。
売却を検討する場合は、買取や仲介の特徴を理解し、税金や諸費用を考慮した資金計画を立てることが重要です。不動産会社や専門家に相談し、状況に応じた選択肢で新生活を始めましょう。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
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