
雨漏りした家を売却する際、買主に雨漏りした事実を告知する必要があります。雨漏りは「物理的瑕疵」に該当するため、告知を怠ると契約不適合責任を追求される可能性があるためです。この記事では、雨漏りの修繕の必要性や、雨漏りした家を高く売却する方法、売却時の注意点について詳しく説明します。
目次
雨漏りした家を売却するには?

雨漏りした家を売却する場合、雨漏りしたことを買主に伝える必要があります。ここでは、告知義務について詳しく説明します。
一度でも雨漏りしたところがあれば告知義務がある
雨漏りは「物理的瑕疵」に該当するため、売主は雨漏りがあった事実を告知しなくてはなりません。
瑕疵とは、買主の契約の意思決定を左右しかねないほど重大な欠陥のことをいいます。瑕疵には、以下の4分類があります。
心理的瑕疵 | 事故物件など、買主にとって心理的抵抗となりうる欠陥 |
環境的瑕疵 | 物件の周辺環境の欠陥 |
物理的瑕疵 | 土壌汚染や地盤沈下、雨漏りなど物理的欠陥 |
法的瑕疵 | 建築基準法に違反しているなど、物件における法的欠陥 |
宅地建物取引業法では、売主は買主に瑕疵を告知する義務があることを定めています。雨漏りは建物の物理的な損傷にあたるため、物理的瑕疵として買主に告知しなくてはならないのです。
雨漏りによる二次被害も告知する必要がある
雨漏りが原因で起こった二次被害も、物理的瑕疵に該当するため告知する義務があります。二次被害とは、雨漏りが原因でカビやシロアリが発生したケースなどを指します。
雨漏りした部分は湿気が高くなるため、建材がカビたり、シロアリに建材が侵食されたりしやすくなります。最悪の場合は、カビやシロアリが原因で建物が崩壊する危険性もあるのです。
このような二次被害は一見しただけでは分かりにくいものですが、買主側が確認できなかった不具合も瑕疵とみなされます。特に木造住宅は築年数に関係なく二次被害にあいやすいので、細心の注意が必要です。
告知を怠れば契約不適合責任を負う
告知義務があるにもかかわらず、怠った場合は「契約不適合責任」を負わなければなりません。
契約不適合責任とは、不動産売買において売主が買主に対して負う責任の一つです。契約内容と異なる内容があった場合、買主は売主に対して責任を問えます。
雨漏りがあることを買主に説明をせず売却し、それが発覚した場合は「契約内容には雨漏りがないと記載されていたのに、実際は異なった」ということになります。そのため、売主は契約不適合責任を追求され、損害賠償を求められる可能性があるのです。
売却後のトラブルを防ぐためにも、不具合の告知を徹底するのが大切です。
雨漏りした家は売却前に修繕すべき?

雨漏りを修繕すべきかは、ニーズや個々のケースによります。
一般的には、雨漏りは修繕したほうが望ましいとされています。雨漏りの修理を行った家は、買主側で修理する必要がなく、建物自体への不安感が軽減されるなど買い手にとってメリットがあります。そのため売れやすくなり、売却価格を引き上げられる場合もあるのです。
しかし、雨漏りの修繕には手間や費用がかかります。状況によっては修繕費が物件の売却価格より高くつくことも。何より、修繕したからといって必ず売れる保証もありません。
その一方で、雨漏りの修繕をしていない家でも、買い手が現れるケースもあります。例えば、「リノベーションするために中古物件を探している」「購入後は新築住宅に建て替えるため、既存の家は取り壊す」などのケースです。
このように、ニーズも個々の状況もそれぞれであり、修理すべきとは一概に言えません。まずは不動産会社にどのように対応するとよいか相談するのがおすすめです。
雨漏りした家を高く売却する方法

雨漏りした家をできるだけ高く売却したい場合、対策が5つ挙げられます。「雨漏りの修理」「リノベーション」「更地にする」「ホームインスペクションをする」「不動産会社へ直接売却する」について詳しく説明します。
雨漏りを修理する
前述した通り、雨漏りの修理をすれば買主の安心感につながるため、スムーズな売却が期待できます。特に築年数が長い家は、雨漏り以外にも欠陥や弱くなっている箇所もあるものです。一緒に修理しておけば、売却活動時のアピールに繋がります。
ただし、修理には費用がかかりますし、二次被害がある場合は更に出費がかさむことも。状況によっては、修理費用を回収できないほど修理費用が高額になることもありえます。まずは現状を確認し、どこまで修理するべきか不動産会社に相談しましょう。
リノベーションをする
雨漏りの修繕と合わせて、リノベーションをするのも一つの手段です。リノベーションとは、建物を改修・改装し、原状回復以上の付加価値をつけることです。例えば、間取りや内外装の変更などを行い、住まいの性能や価値を高める工事を行います。
リノベーションは買主へのアピールポイントになるため、高く売れる可能性があります。ただし、雨漏りの修理以上に費用がかかるため、こちらも不動産会社に相談しつつ検討するとよいでしょう。
更地にする
家を解体し、更地にして売る方法もあります。建物自体を解体してしまえば、雨漏りがあったことも関係なくなります。雨漏りするような古い家はなかなか売れにくいため、更地を購入したい人にターゲット変更を検討するのも一つの手です。
懸念点は、解体費用がかかることです。家の状態にもよりますが、解体費用の目安は以下となります。
木造 | 4〜5万円/坪 |
軽量鉄骨造 | 6〜7万円/坪 |
鉄コンクリート造 | 6〜8万円/坪 |
解体する場合、解体業者を探したり申請書類を準備したりと、さまざまなことに対応しなくてはなりません。これも解体に踏み切る前に、不動産会社に相談するのが無難と言えます。
ホームインスペクションをする
ホームインスペクションを行い、住宅の状態を正しく把握してから対策を考えるのもよいでしょう。
ホームインスペクションとは、住宅診断士などの有資格者に住宅の状態をチェックしてもらうことです。雨漏りの状況だけでなく、二次被害や他に修繕が必要な箇所も調べてもらえます。
ホームインスペクションをすると修理が必要な箇所が明らかになるため、修理費用など今後の見通しを立てやすくなるのがメリットです。また、指摘された箇所さえ修理すれば、「問題箇所は補修済み」というプロのお墨付きがもらえることになるので、売主も買主も安心して取引できるでしょう。
不動産会社に直接売却する
出費を抑えつつなるべく最短期間で売却したい場合は、不動産買取業者に直接売却するのも一つの方法です。
前述した通り、雨漏りした家は売れにくいため、高く売りたいなら何かしらの対策が必要です。しかし、どの対策も費用がかかったり、手間が必要だったりと、売却まで出費や時間がかかるのがデメリットです。
その点、不動産買取業者を利用すれば、現状のまま買取ってもらえるので、短期間で手間なく売却できます。広告も打たないので、物件情報が周囲に知られないこともメリットです。
ただし、買取業者への売却価格は、市場相場よりも安くなるのが通常です。安くてもいいから確実に売りたい人に向いていると言えるでしょう。
雨漏りした家を売却するときの注意点

雨漏りをした家を売却する場合、買主への告知義務があることに注意が必要です。ここでは、「告知義務を怠ると損害賠償請求される」「修理など行った場合も告知をしたほうがよい」について説明します。
雨漏りの告知義務を怠ると損害賠償請求される
雨漏りしていることを買主に告知しないと損害賠償を請求される可能性があります。前述した通り、雨漏りは物理的瑕疵に該当する重要事項です。告知は口頭だけでなく、書類としても提出することを求められます。
それを怠った場合は、契約不適合責任として買主から修理代などの損害賠償が求められることになります。それだけでなく、売却金の減額や契約解除なども請求される可能性も。
瑕疵について知らないまま売却した場合でも契約不適合責任が適用されるため、注意が必要です。
修理やリノベーションをした場合も告知はしたほうがよい
雨漏りした部分を修理したり、リノベーションを行ったりしたとしても、買主への告知はしたほうがいいでしょう。
なぜなら、「過去に雨漏りしたことを告知しなかった」として、損害賠償を受ける可能性があるからです。トラブルを防ぐためにも、現在起きている不具合はもちろんのこと、修復済みの不具合も伝えるべきです。
住栄都市サービスでも、過去の雨漏りの有無を「物件情報等報告書(告知書)」に記載し、修理済みの場合も補修時期も含めて告知しています。これにより、売主・買主双方共に安心して取引できると考えています。
雨漏りした家を売却する場合は適切に対処してトラブルを避けよう

雨漏りした家を売却する場合、売主は買主に対して雨漏りしたことを告知しなくてはなりません。告知を怠ると契約不適合責任として損害賠償を求められる可能性があります。告知義務には、雨漏りによる二次被害も含まれるので注意が必要です。
雨漏りした家を高く売却するには、「雨漏りを修理する」「リノベーションをする」などの手段がありますが、いずれもそれぞれのケースによって最適な対応は異なります。まずは専門知識のある不動産会社にどのように動けばいいか相談し、検討するとよいでしょう。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
