特殊清掃とは、通常の清掃では落とせない特殊な汚れのある部屋を原状回復することです。孤独死や事故死などの現場となった住居や建物で行われます。
不動産を賃貸している場合、保有する不動産が特殊清掃現場になる可能性は否めません。その場合、通常の清掃ではなく特殊清掃を行わなければ賃貸や売却が難しいと不動産会社にアドバイスされることがほとんどです。
この記事では、特殊清掃現場の種類や注意点を解説します。併せて、保有する不動産が特殊清掃現場になってしまった場合の手続の仕方についてもチェックしてください。
目次
特殊清掃とは
特殊清掃とは、孤独死や事故死の現場、ゴミ屋敷など、一般的な清掃では落とせない汚れのある部屋を掃除することです。
特殊清掃現場では、ハウスクリーニングはもちろん、遺品整理や不用品処分、除菌消毒作業も同時に行うことが多い傾向にあります。
特殊清掃現場で多いのが、血液や体液などによる汚れ、害虫、悪臭など。これらは通常の清掃ではきれいにするのが難しい汚れです。
特殊清掃現場となった不動産売却をしたい場合、不動産会社から特殊清掃を実施後でなければ売却を断られることも。
特殊清掃では、汚れた壁や床の掃除はもちろん、家具や遺品の片付けも行い、除菌・消臭して原状回復を行います。畳やフローリング、壁紙まで汚れが染み込んでいた場合、床や壁をはぎとって徹底的にクリーニングすることもあります。
特殊清掃現場は、専門業者が清掃する場合がほとんどです。
特殊清掃現場の種類
特殊清掃が必要な部屋を特殊清掃現場と呼んでいます。さまざまな特殊清掃現場の種類について、見ていきましょう。
孤独死や事故死の現場
事故や事件、自殺・病死などの現場となった部屋は、室内の汚染物を撤去したり消臭作業をしたりする特殊清掃が必要です。
死亡から遺体発見までが遅れると、体液や血液が床や壁に染み込むことも。夏場は2日程度、冬でも1週間程度で遺体の腐敗が進んで異臭を放つようになり、さらに遅れれば害虫も発生します。
周辺住民から苦情がきたり、噂が立って物件の価値を損ないかねなかったりするため、特殊清掃現場を売却したいなら迅速な対応が必要です。
ゴミ屋敷や空き家
ゴミ屋敷や放置された空き家も、特殊清掃現場となります。
ゴミ屋敷では、放置されたゴミが腐敗して異臭や害虫が発生していることが多いため、ゴミの処分だけでなく害虫駆除や消毒も必要です。ゴミ屋敷でゴミに埋もれた遺体が発見された事例もありました。
また、放置された空き家も特殊清掃現場になることがあります。部屋の中に残された家財道具を片付けたり、周囲の手入れがされず伸びてしまった草木を切ったり、侵入した害獣の糞尿を処理・清掃したりします。
火災の現場
火災現場も特殊清掃現場にあたります。火災現場では、部屋の中に残された不要物を片付けるのが基本です。
加えて、火災現場には焼き焦げ臭が染みつきスス汚れが広がっていることがほとんどです。火災臭は、一般的な消臭剤の塗布や表面の清掃だけでは取れません。臭いの原因となっている部分を取り除いて、徹底した消臭・消毒作業が必要です。
場合によっては、特殊清掃だけでなくリフォームが必要な場合もあります。
特殊清掃の費用相場
特殊清掃は、一般的なハウスクリーニングよりも専門知識や技術が必要なため、費用も高額になる傾向です。
特殊清掃の具体的な費用は、間取りや作業内容によって異なります。一人暮らしなど狭い部屋で軽度の汚れであれば数万円~、広い一軒家や遺体発見が遅れて作業時間がかかる場合には100万円近くかかることも。
間取りごとの相場例は下記の通りです。
間取り | 料金 |
---|---|
1K・1R | 60,000~280,000円 |
1DK~3LDK | 150,000~480,000円 |
4LDK以上 | 250,000~600,000円 |
なお、こちらの価格はあくまで参考であり、特殊清掃現場の作業内容は多岐に渡るため実際には現場によって大きく異なります。
特殊清掃現場に立ち入るリスク
保有している不動産で人が亡くなるなどして特殊清掃現場になった場合、その部屋に入室するのにはさまざまなリスクがあります。
基本的には、遺体はすでに収容されているので目にすることはほとんどありませんが、特殊清掃現場への立ち入りはできるだけ避けた方が良いでしょう。特殊清掃現場に立ち入るリスクを紹介します。
脳裏に焼き付く凄惨な光景
特殊清掃現場は、目を覆いたくなるような凄惨な状況であることもしばしばあります。
遺体発見が遅れると、体液が床面に流れ出て人型のシミになっていたり、部屋一面に血液が広がっていたりなど、目にした強烈な光景が脳裏に焼き付いて離れずトラウマになってしまうことも少なくありません。
軽い気持ちで特殊清掃現場に立ち入らないようにしてください。
体に染みつく強い腐敗臭
孤独死や事故死などで遺体がしばらく発見されなかった特殊清掃現場は、腐敗臭が強い特徴があります。
特殊な防臭マスクをつけていても感じるほどの強さで、忘れられない独特の臭いです。さらにその臭いはすぐに服に染みつきます。
しばらくは食欲もわかないほど強烈で、身体を洗っても取れていない気がするなど解消が難しい臭いです。
視覚・嗅覚的刺激による精神的ショック
特殊清掃現場で目にした光景や強烈な臭いは、精神的ショックを引き起こすことがほとんどです。
場合によっては、トラウマになったり、幻臭症状やうつ病を発症したりすることもあります。
感染症による二次被害
特殊清掃現場は、感染症のリスクも高い場所です。
コロナウイルスや肝炎などが原因で亡くなっている場合、遺体の体液や血液から感染するリスクがあります。また、感染症が直接の原因でなくても発見が遅れ害虫が発生すると、害虫によって部屋中に細菌やウイルスが広がります。
入室しただけで感染症を引き起こす可能性も否定できません。
特殊清掃現場に入室するのはおすすめできないため、無理に入室せず専門業者に任せた方が良いでしょう。
特殊清掃現場の清掃後に必要な手続
もし、保有する不動産が特殊清掃現場になってしまった場合、必要なのは清掃だけではありません。特殊清掃した後の物件の取り扱いに悩むこともあるでしょう。
例えば、賃貸物件であったなら資産価値の低下を懸念して売却を検討する所有者は少なくありません。加えて、親の住む住宅であった場合は、相続問題も発生します。
特殊清掃現場の清掃を依頼する場合、不動産業者を同時に呼ぶと、同時に査定依頼が可能になるため、その後の流れがスムーズです。
住栄都市サービスなら、特殊清掃費用込みで買取が可能です。買い取ってから特殊清掃をするので、実質特殊清掃費用の自己負担がない点がメリットです。
所有する不動産が特殊清掃現場になってしまったら、まずは住栄都市サービスにご相談ください。
特殊清掃現場の対応はプロに任せよう
特殊清掃現場とは、事故死や孤独死の現場、ゴミ屋敷など特殊な事情を抱えたプロの清掃が必要な部屋です。
多くの場合、特殊清掃現場は凄惨な状況なので一般の人は立ち入らない方が賢明です。
所有する不動産が特殊清掃現場になってしまった場合は、プロに対応を任せて、その後売却するなど対応を決めましょう。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。