大切な人を失った後、遺品整理を始めるタイミングは、多くの人にとって悩ましい問題です。すぐに取りかかるべきか、時間を置いてから始めるべきかは、家族の状況や心の整理の進み具合によって異なります。
本記事では、遺品整理を始めるタイミングの目安やスケジュールを組むポイント、遺品整理の流れ、注意点について詳しく解説します。
目次
遺品整理はいつから始める?タイミングの目安
遺品整理を始めるタイミングは、葬儀直後や主要な手続き後、四十九日法要後などさまざまです。自分や家族の状況に合わせて、無理のない時期に進めましょう。まずは各タイミングの特徴を解説します。
葬儀直後|亡くなってから1週間以内
葬儀が終わった直後の1週間以内に、遺品整理を始める方もいます。この時期は感情が整理されておらず、作業に取り掛かることが難しい場合もありますが、早めに取り掛かることで思い出の品や日常生活に必要なものを分ける良いきっかけになります。
このタイミングでは、あくまで身の回りの整理や緊急性の高い遺品に絞ることが重要です。故人の身分証明書、銀行通帳、契約書類などを確認しておくと、相続手続きや各種解約に役立ちます。これらの重要な品を早めに整理・確認しておくことで、後々の手続きの負担を軽減できます。
遠方に住んでいる家族がいる場合も、このタイミングで整理を進めておくと、後日集まる際の負担が減るでしょう。故人が賃貸住宅や施設で暮らしていた場合も、早めに整理を始めることで、家賃や管理費といった費用の負担を抑えることが可能です。
主要な手続きが完了した後|亡くなって1週間後〜1ヵ月以内
この頃には、役所での各種手続きや相続関連の準備が進み、心の整理がつきやすくなることが多い傾向です。
また、手続きに必要な書類も揃いやすいため、効率よく整理を進められます。故人の家の片付けや生活用品の整理を少しずつ始めることで、空間が整い、不要なものを徐々に処分していけるでしょう。
このタイミングで遺品整理を行うことで、気持ちの区切りをつけやすくなると同時に、必要なものと処分するべきものを冷静に判断できるようになります。
四十九日法要後|亡くなって2〜3ヵ月後
四十九日法要が終わり、一通りの供養が済んだ2〜3ヵ月後も、遺品整理に適したタイミングとされています。
四十九日法要とは、故人が亡くなった日から数えて49日目に行う仏教の儀式で、故人の霊が成仏し、あの世へ旅立つとされる重要な日です。この時期を迎えることで、家族の中で一区切りがつき、遺品と向き合う心の余裕が生まれやすくなります。
このタイミングでは、家族や親族とともにゆっくりと故人の思い出を振り返りながら整理を進めるのがおすすめです。
相続税の申告期限に合わせる|亡くなって7〜10ヵ月以内
相続税の申告には、故人が遺した財産の全体像を把握する必要があるため、遺品整理と並行して財産目録を作成することで効率的に進められます。このタイミングで遺品整理を行うと、税務申告に必要な書類も整いやすくなります。
不動産や貴金属、証券類など価値のあるものを整理し、その評価額を確定しておくことで、相続税の計算がスムーズに進むでしょう。
遺品整理のスケジュールを組むポイント
遺品整理を効率よく進めるには、事前にスケジュールを立てておくことが欠かせません。ここでは、遺品整理を計画的に進めるために押さえておきたい4つのポイントを解説します。
1.遺品の量や種類を把握する
遺品整理をスムーズに進めるためには、まず遺品の量や種類を把握することが重要です。家の規模や部屋数、物品の数をざっと確認し、どれくらいの作業が必要かを見積もることから始めましょう。
遺品が多い場合は、「衣類の整理を初日に行う」「書類は翌日」というように、段階的に進める方法が有効です。また、遺品の種類も確認しておくと整理がスムーズに進みます。貴重品、衣類や家具、思い出の品などに分類し、事前に「捨てるもの」「残すもの」を分ける基準を決めておくと良いでしょう。
遺品の量や種類をしっかりと把握し、現実的な整理計画を立てることで、効率的かつ負担の少ないやり方で遺品整理を進められます。
2.作業に必要な人数を事前に確保する
遺品整理をする際に十分な人数が揃っていれば、短時間で多くの作業を進められて、全体の負担を軽減できます。例えば、大きな家具や重い物を処分する場合は、2〜3人の協力があれば安全かつ効率的に作業を進められます。
家族だけで対応するのが難しい場合は、親族や友人に協力をお願いするのも一つの方法です。それでも人手が足りない場合には、専門業者への依頼を検討するのも良いでしょう。
適切な人手を確保することで、作業時間を短縮しつつ、各自の負担を軽減できます。
3.遺品整理を誰が担当するかを決める
遺品整理の担当者を決めることで、役割が明確になり、無駄な混乱を防げます。親族間で「〇〇さんは衣類担当」「〇〇さんは書類担当」といった形で役割分担をすると、それぞれが自分の作業に集中でき、全体の進行がスムーズになります。
また、担当者を明確にすることで、責任の所在がはっきりし、意見の食い違いによるトラブルを防ぐ効果も期待できるでしょう。
4.終了予定日を設定して作業の見通しを立てる
遺品整理は時間がかかりがちですが、終了予定日を設定しておくことで、作業全体の見通しが立ち、計画的に進めやすくなります。具体的な終了日が決まることで、モチベーションを保ちやすくなり、作業がダラダラと続くのを防げるでしょう。
例として「2週間後の土曜日までに整理を終える」といった目標を定めることで、各ステップに区切りをつけやすくなります。また、この目標を家族や関係者と共有することで、全員が同じ方向を向き、一致団結して進めることができます。
遺品整理の流れ
遺品整理を効率よく進めるためには、基本的な流れを押さえておくことが重要です。
<遺品整理の流れ>
1.遺品の仕分け:思い出の品や必要な書類、捨ててはいけないものや大切なものを分けて保管する
2.不用品の処分:リサイクル可能なものと処分するものを仕分けし、適切に処分する
3.形見分け:親族で相談し、形見分けを行う。価値があるものは事前に確認する
貴重品や重要書類は必ず確認し、財産に関するものは整理前に相続人全員で共有することでトラブルを防げます。また、無理をせず作業を複数日に分けて進めることがおすすめ。もしも、人手が足りない場合や専門の処理が必要な場合は、専門業者に依頼するのも一つの方法です。
遅れるとデメリットになる?遺品整理をすぐにしない場合の注意点
遺品整理を後回しにすると、経済的な負担や手続きの遅れ、管理面での問題など状況が悪化するケースも少なくありません。ここでは、遺品整理を先延ばしにした場合に考えられる主な注意点について解説します。
家賃や固定資産税などの維持費が発生する可能性がある
遺品整理を先延ばしにすると、物件の維持費が発生し続ける可能性があります。賃貸物件の場合は家賃が継続して発生し、持ち家の場合でも固定資産税や管理費などの費用がかかるため、いずれにせよ経済的な負担が避けられません。
特に、長期間放置してしまうと維持費が積み重なり、最終的な負担が大きくなることがあります。
遺産分割協議や相続税の申告に遅れが生じるリスクがある
相続税の申告期限は、基本的に故人が亡くなってから10ヵ月以内と定められていて、期限を過ぎると延滞税が発生する場合があります。また、遺品整理が進まないことで協議が滞り、遺産が未分割のままとなると、相続人間でトラブルが生じるリスクも高まります。
空き家のまま放置すると管理リスクが高まる
遺品整理をしないまま空き家を放置していると、管理が行き届かず、さまざまなリスクが生じる可能性があります。例えば、風雨による建物の劣化が進んだり、不法侵入や不法投棄といった問題が発生するリスクが高まります。
また、建物や土地の資産価値が下がる可能性も。このような状況を防ぐためには、定期的に訪れて点検を行うとともに、早めに遺品整理を進めることが大切です。適切な管理を行うことで、空き家のリスクを軽減し、将来的な問題を防げます。
故人の大切な品を捨てられない…プロへの依頼も視野に入れて
遺品整理は、故人との思い出が詰まった品々と向き合う繊細な作業です。「捨てられない」「残すべきか迷う」と悩むこともあり、無理に整理を進めると負担が増えることもあります。
そんな時は、住栄都市サービスを利用するのも一つの方法です。同社なら遺品整理をせず、家をそのままの状態で売却できます。また、相談を通じてお金になりそうなものを換金し、捨ててはいけないものや思い出の品を残すことも可能です。遺品整理費用を別途かける必要がないのも大きなメリット。
プロの力を活用しながら、負担を軽減して丁寧に整理を進めてみてはいかがでしょうか。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。