
空き家の放置は、火災や倒壊の危険性により近隣住民に迷惑がかかったり、特定空き家の指定により課税額が上がったりするなどのリスクがあります。空き家を所有する場合は、適切に掃除し管理していくことが大切です。
スムーズに空き家掃除ができるよう、放置リスクや適切な掃除頻度、やるべきこと、業者に依頼したほうがいいケースや費用を解説します。
目次
空き家掃除はなぜ必要?放置するリスク5つ

空き家を放置すると、放火等による火災や災害による倒壊のほか、不法投棄により景観が悪化したり、犯罪に使用されたりするリスクが生じます。また、特定空き家に指定された場合は固定資産税の負担が大幅に増えてしまいます。
1.放火等による火災の発生
管理されていない空き家は放火犯に狙われやすく、放置すると火災発生のリスクが高まります。また、コンセントに溜まった埃により火災が引き起こされるトラッキング現象や、ネズミなどが配線をかじり、漏電することによる火災も考えられるでしょう。
家の周辺に枯れ葉やゴミが散乱した状態では火が燃え広がりやすく、隣家に燃え移る可能性も。火災の発生を防ぐためには、定期的な掃除をはじめ、施錠や燃えやすいものを置かないなど適切な管理が必要です。
2.劣化や災害による倒壊
空き家の放置は、劣化や災害による倒壊リスクを高めます。人の住んでいない空き家は老朽化が進みやすく、倒壊するおそれも。地震や台風などの災害により飛散・倒壊した場合、近隣住民に迷惑をかけてしまうかもしれません。
また、腐敗や劣化が進行することで、シロアリや害虫が発生しやすくなります。空き家は適宜修繕を施しながら、適切に維持していくことが大切です。
3.不法投棄による景観悪化
空き家を放置すると、景観が損なわれて地域全体の価値を下げる要因となります。特に、人目の少ない空き家は不法投棄されやすく、ゴミ屋敷化しやすいでしょう。粗大ゴミが投棄された場合でも、空き家の所有者が責任を負わなければなりません。
また、処理されずに生い茂った雑草や道路にまで伸びる草木は、景観を損ねるだけでなく近隣住民に迷惑がかかることに。建物だけでなく、周辺環境も適切な管理が求められます。
4.不法侵入等の犯罪に使用
空き家を放置すると、不審者が侵入し犯罪に使用されるリスクがあります。施錠されていても窓や勝手口が壊れていれば、不審者が寝泊まりしたり犯罪の拠点として使用されたりする場合があります。
また、ネズミや猫、イタチなどが住み着くことにより、家を荒らされる可能性も。家が修復困難な状態になれば利用価値が下がりかねないため、防犯・防獣対策も欠かせません。
5.特定空き家への指定
空き家を放置すると、「特定空き家」に指定され、固定資産税の増額や解体撤去などのリスクにつながります。
特定空き家に指定されると、土地の固定資産税の軽減から外れ、税額は最大6倍になります。また、行政から勧告を受けても改善が見られない場合は、自治体が強制的に空き家を解体撤去し、費用は所有者に請求されます。
行政から連絡を受けた場合は、早急な対処が必要です。
空き家掃除の適切な頻度は?

空き家掃除は、月に1回が目安です。定期的に行うことで毎回の掃除負担を軽減でき、適切に管理しやすくなります。
なお、遠方に空き家があるケースや、毎月掃除をするのが大変な場合は、後述する業者への依頼や不動産会社への売却も一つの手です。
【手順】空き家掃除でやるべきこと8つ

空き家掃除をするにあたってやるべきことは8つあります。順を追って解説していきましょう。
1.近隣住民への挨拶
空き家掃除を始める前に、まずは近隣住民に挨拶をしましょう。空き家に明かりがついていると不審に思われることがあるため、挨拶をしておくと誤解を防げます。
また、挨拶の際に空き家による迷惑がかかっていないか確認することで、トラブル防止にもつながるでしょう。緊急時の連絡先を渡しておくと近隣住民も安心でき、良好な関係を築けます。
2.郵便物の回収
空き家の郵便物は定期的に回収・処分することが大切です。郵便物が溜まっていると空き家であることが外部に知られ、放火や犯罪のターゲットになりやすくなります。防犯のために、定期的にポストを確認し処分しておきましょう。
3.室内の換気
空き家に入ったら、まずは換気をして空気を入れ替えましょう。換気をすることで湿気を取り除き、カビの繁殖を防止できます。しばらく訪れていなかった場合は空気がよどんでいることもあるため、対角線上の窓を開けて風通しを良くするとよいでしょう。
4.水道の通水
空き家掃除では、キッチン・洗面所・浴室の水道から水を流すことが大切です。長期間水道を使用していないと、排水管内の水が蒸発し、下水のニオイが上がってくることも。冬場は排水管が凍結し、破裂する可能性もあります。
水道を通している場合は、30秒〜1分ほど水を流してニオイと凍結を防止しましょう。水道を止めている場合は、排水溝に蓋をしておくと安心です。
5.掃き掃除・拭き掃除
空き家掃除では、床や壁の掃き掃除や拭き掃除が必要です。埃は上から落ちてくるため、上から下にかけて掃除をするのがポイント。カーテンレールなどの高い場所から始め、掃除機で塵や埃を吸い取り、床は雑巾で拭くとよいでしょう。
6.水回りの掃除
空き家掃除では、水回りに付着した汚れの除去も行いましょう。キッチン・洗面所・浴室などはカビが広がりやすいため、繁殖を防ぐために徹底的に掃除をしておくことが大切。必要に応じて防カビ剤も使用すると効果的です。
7.害虫・害獣の駆除
害虫・害獣の駆除も空き家掃除には欠かせません。空き家にはゴキブリやネズミ、クモなどが発生しやすく、長期間放置すると増加してしまいます。
防虫剤を散布するほか、網戸が破れている場合は修復が必要です。放置すると近隣にも被害が広がってしまうため、早めに対策しておきましょう。
8.各設備の点検
最後に、各設備を点検することも重要です。雨漏りや壁のひび割れがないか確認し、メンテナンスが必要な場合は業者に修復を依頼しましょう。
電気・水道・ガスなどのライフラインが問題なく使用できるかや、メーターを見て不審な点がないか確認しておくことも大切です。掃除で使用した場合は、必ず元の状態に戻し、戸締まりも忘れずに行いましょう。
空き家掃除を業者に依頼したほうがいいケース

空き家掃除は自力でもできますが、以下のケースに該当する場合は業者を頼るとよいでしょう。
- ・異臭が強く、業務用の消臭剤を使用しなければならない
- ・大量の家財整理が必要
- ・頑固な汚れがあり、自力では取りきれない
- ・掃除すべき範囲が広い
- ・ハウスダストアレルギーや喘息など健康上の問題がある
- ・掃除を終えなければならない期限が決まっている
定期的な掃除と違い、長年放置していた空き家の場合は掃除に時間や労力がかかるため、業者に依頼しましょう。また、空き家が遠方にあり通うのが大変な場合も、必要に応じて頼ると負担を軽減できます。
【業者に依頼する場合】空き家掃除の費用相場

空き家掃除を業者に依頼した場合の費用相場は、以下のとおりです。
間取り | 費用相場 |
---|---|
1R・1K | 30,000~80,000円 |
1DK・1LDK | 50,000~200,000円 |
2DK・2LDK | 90,000~300,000円 |
3DK・3LDK | 150,000~500,000円 |
4DK・4LDK | 220,000円~600,000円 |
空き家掃除でやることを理解して適切に進めよう

空き家の放置は火災や倒壊のリスクを高めるため、月1回を目安に定期的に掃除をすることが大切です。手順を理解し、適切に進めましょう。
なお、業者に依頼したい場合や空き家を売却予定の場合は、住栄都市サービスまでぜひご相談ください。
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1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。
