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事故物件の種類と4つの瑕疵|心理的・物理的・法律的・環境的

2024.02.04

事故物件とは、人の死が関わることで抵抗を抱く可能性のある心理的瑕疵物件のことです。不動産における瑕疵は、心理的のほかに物理的・法律的・環境的の4つに分類されます。

物件に瑕疵がある場合、売主・貸主は買主・借主に対し告知しなければなりません。告知を怠ると契約不適合責任を問われたり、最悪の場合、損害賠償を請求されたりするケースも。

ここでは、事故物件の種類と告知義務について解説していきます。

事故物件に種類はある?

事故物件は心理的瑕疵物件のことで、種類はありません。不動産における瑕疵は、心理的・物理的・法律的・環境的の4つがありますが、事故物件に該当するのは心理的瑕疵物件のみです。心理的瑕疵に該当するのは、「自然死や不慮の事故死以外の死」「特殊清掃が必要になる死」であると「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」にて定義されています。

そもそも瑕疵物件とは、本来備わっているべき品質や性能を大きく欠いた物件のこと。いわゆる訳あり物件と呼ばれることもあり、物件における4つの瑕疵をしっかりと理解しておくことが大切です。

事故物件は不動産の価格に影響する

事故物件となった背景にもよりますが、買主・借主が「住みたくない」と感じることで需要が下がれば、不動産の価値は低くなりかねません。人が亡くなっている事故物件は、少なからず心理的抵抗を感じるものです。事故物件は、一般的な相場として、自死が生じた物件では20〜30%の値下げ、殺人事件が起こった物件では50%程度値下げされた売却価格で取り扱われるといわれています。

ただし、大都市のマンションや人気の高い土地であれば、事故物件であっても価格が低下しないことも。利便性や眺望など、事故物件であるという欠点を上回るほどの利点は需要を生みます。

4種類の瑕疵物件がある

物件の瑕疵には、「心理的瑕疵」「物理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境的瑕疵」の4種類があります。それぞれの特徴を解説していきます。

心理的瑕疵

心理的瑕疵とは、物件の事情によって心理的に嫌悪感を与え、安心して日常生活が送れなくなることを指します。心理的瑕疵物件は、見た目や家としての性能に問題がないことがほとんど。そのため、事情を知らなければわかりませんが、知ってしまったら住みたくなくなることが多い物件です。

たとえば、以下のような例が挙げられます。

・過去に自死や殺人事件など自然死や不慮の事故死以外が起きたことがある
・自然死であっても特殊清掃をしたことがある
・近隣に反社会的勢力の事務所など嫌悪施設がある
・墓地や火葬場が近くにある

ただし、嫌悪の感じ方は人それぞれです。老衰や病死などの自然死であれば気にならない人もいれば、人が亡くなったという事実だけで不快に思う人もいます。見た目がきれいであれば過去のことは気にならないという人もいるでしょう。

このように買主・借主によって感じ方がさまざまであることから、心理的瑕疵の判断は非常に難しいとされています。また、起きてしまった事実は変えられないため、売主・貸主が対策を講じることができないことも問題点の一つです。

物理的瑕疵

物理的瑕疵とは、もの自体に欠陥があることです。建物や土地自体に欠損や破損などがある物件を物理的瑕疵物件といいます。

たとえば、以下のような例が挙げられます。

<建物の物理的瑕疵>
・シロアリにより建物が侵食されている
・給排水管が破損・故障している
・雨漏りや水漏れが生じる
・耐震強度が基準を満たしていない

<土地の物理的瑕疵>
・地中に産業廃棄物等が埋まっている
・地盤が軟弱で不安定になっている
・有害物質等で土壌が汚染している

ただし、経年劣化は物理的瑕疵に含まれないことがあります。築年数が経った建物に生じる機能の低下や日常生活でついた傷・摩耗などは、時間の経過により起こりうることとして、瑕疵とはみなされません。

法律的瑕疵

法律的瑕疵とは、建築基準法をはじめとする法律によって障害があることです。法律に反するために利用が規制される物件を法律的瑕疵物件といいます。制限される項目は、主に以下のような場合です。

建築基準法 ・建ぺい率や容積率などが基準を満たしていない
・構造上の安全基準が法の基準に達していない
・接道義務に違反している
消防法 消化器・火災報知器・スプリンクラーなどの
防火設備の設置義務に違反、あるいは設備自体が古い
都市計画法 開発行為が原則認められていない
「市街化調整区域」内の建物である

環境的瑕疵

環境的瑕疵とは、生活するうえで嫌悪感や不快感があることです。建物の周囲にそのような要因がある物件を環境的瑕疵物件といいます。

たとえば、以下のような例が挙げられます。

・近くに線路や高速道路があり振動や騒音がする
・隣接する高層の建物により日当たりや眺望が阻害される
・工場が近くにあり異臭を放っている
・近くに刑務所や原子力発電所などの嫌悪施設がある

環境的瑕疵が他の瑕疵と異なる点は、人が原因になりうることです。たとえば、夜中に騒ぐ人がいることやゴミ屋敷があるなどのケースも迷惑行為に含まれます。また、どの程度で嫌悪感を覚えるかは人それぞれであり、場合によっては心理的瑕疵に分類されることもあります。

瑕疵物件の告知義務について

瑕疵物件について、売主・貸主は買主・借主に告知する義務があります。この告知を怠ると契約不適合責任を問われたり、最悪の場合、損害賠償を請求されたりすることもあるため注意が必要です。ここでは告知義務について解説していきます。

告知しないと契約不適合責任を問われる

瑕疵があると認識していながら告知をしなかった場合、契約不適合責任を問われる恐れがあります。契約不適合責任とは、契約時に合意した内容に対して、適合しない引き渡しを行った場合に、売主・貸主側で負担する責任のことです。

2020年3月31日までは瑕疵担保責任として、買主・借主側が把握していなかった瑕疵があった場合に売主・貸主側が責任を負担することになっていました。それが、2020年4月1日以降の民法改正で契約不適合責任に変わり、瑕疵の把握に関係なく、契約に不適合か否かが責任発生の判断基準となりました。つまり、契約内容に「瑕疵はない」としたのに、瑕疵物件を引き渡した場合には売主・貸主側に責任が発生します。

損害賠償を請求されることがある

瑕疵物件に関する告知義務を怠ると、前述の通り損害賠償請求をされることがあります。買主・借主側が契約時点では瑕疵に気づかなくても、物件の賃借後や購入後に近隣の噂で瑕疵物件であることを知ったり、自分で調べて知ったりする可能性が考えられます。予期せぬトラブルを未然に防ぐには、売主・貸主側が事前の告知を徹底することが大切です。

心理的瑕疵の告知義務

心理的瑕疵の告知ついては、2021年10月に制定された「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によって定められました。同ガイドラインでは、賃貸においては3年間の告知義務があると記されています。また、期間終了後も買主・借主側から問い合わせがあった場合には告知に応じる義務があります。なお、心理的瑕疵物件の場合、売買取引における告知期間は定められていません。

詳しくは、下記の記事の「ガイドラインによる事故物件の告知義務」をご参照ください。

事故物件の定義とは?ガイドラインによる告知義務についても確認

事故物件と孤独死の関連性

孤独死とは、誰にも看取られずに1人で亡くなることです。病死や不慮の事故死、あるいは心理的瑕疵に該当する自死のどちらであっても、孤独死は事故物件につながるケースが多くあります。

ここでは孤独死にまつわる事故物件について解説していきます。

病死や不慮の事故死での孤独死

孤独死は、高齢者の病死や不慮の事故による死が多いことがわかっています。「第6回孤独死現状レポート」(一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会 2021年6月)によると、死亡時の平均年齢は61.6歳、死因は病死が65.6%と最多を占め、その次に不明が22.2%です。不明はほとんどの場合、病気に起因した死亡と考えられるものの、明確な死因がわからないものです。60代以上の高齢者の場合は、病死以外にも転倒事故や冬場の温度差で生じるヒートショックなど、不慮の事故による孤独死も起こりやすくなります。

病死のような自然死や不慮の事故死であれば、心理的瑕疵に該当しないため、事故物件扱いにはなりません。しかし、発見が遅れて遺体の腐敗が進行した場合は特殊清掃が必要となり、状況が悪ければ物件の修繕を要することもあるでしょう。

同レポートによると、遺体発見までの平均日数は17日です。一方で、遺体の腐敗臭が生じるまでの日数は夏場は死後2〜3日、冬場は死後5〜7日。つまり、孤独死のほとんどが特殊清掃を要し、事故物件扱いになることがわかります。

自死での孤独死

自死による孤独死は、男女ともに若年層に多く見られます。先述の「第6回孤独死現状レポート」によると、男性は40代以下の孤独死が自死である割合は約23%です。一方で、女性の20代以下の自死が約40%と死因の4割を占める結果が出ています。

特殊清掃が必要にならなくても、自死そのものが心理的瑕疵に該当するため事故物件扱いとします。

事故物件や瑕疵物件を保有している人は売却も検討

事故物件や瑕疵物件は、価格の低下や告知義務の責任などリスクを伴うことも多いのが実情です。そこで、買主・借主が見つからない物件を所有している場合は、不動産会社に売却するのも一つの手段でしょう。売れない物件の買取を行う専門業者もありますので、検討してみると安心かもしれませんね。

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事故物件と瑕疵の4種類を知って適切な対応を

事故物件とは心理的瑕疵を有する物件を指します。不動産における瑕疵は、他にも土地や建物の欠陥、法律上の規制、環境に要因するものなどがあります。瑕疵物件は告知義務があり、怠ると契約不適合責任を問われ損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。また、事故物件は孤独死との関連性が深いこともわかっています。

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