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【新改正】管理不全空き家はいつから固定資産税が6倍に?定義や回避方法を解説

2024.05.13

2023年12月13日に空き家対策特別措置法の一部が改定され、「管理不全空き家」に指定された場合も、固定資産税減税措置が対象外になります。

管理不全空き家とは、管理が行き届いていない空き家のことです。具体的には、屋根や外壁が剥がれていたり、ゴミが放置されていたりする空き家を指します。

この記事では、管理不全空き家の法令が施行された時期や、固定資産税が上がる段階について、また固定資産税が6倍に上がるのを回避する方法を解説します!

「管理不全空き家」の法令はいつから施行された?

空き家対策特別措置法の一部が法改正され、管理不全空き家の法令は2023年12月13日に施行されました。

これまで空き家は「特定空き家」に指定された場合に、固定資産税減税措置の対象外となっていました。

しかし、2023年12月13日に施行された法令によって、特定空き家だけでなく「管理不全空き家」も、固定資産税軽減措置の対象外になっています。

「管理不全空き家」に指定されると固定資産税が6倍に

前述の通り、管理不全空き家に指定されると固定資産税減税措置の対象外となります。それによって、固定資産税だけでなく都市計画税も増えてしまうのです。

そもそも不動産には毎年固定資産税が課され、地域によっては都市計画税もかかります。それは空き家に対しても同様です。

固定資産税の税率は評価額の1.4%となっていて、都市計画税は自治体で定められた数値(上限は0.3%)が基本となります。しかし、住宅用地に関しては固定資産税と都市計画税の減税措置が受けられるのです。

以下の表は、固定資産税と都市計画税(税率0.3%の場合)の減税措置を表したものです。

住宅用地の区分 面積 区分 都市計画税
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 課税標準×1/6×1.4% 課税標準×1/3×0.3%
一般住宅用地 200㎡を超える部分 課税標準×1/3×1.4% 課税標準×2/3×0.3%

管理不全空き家に指定された場合、表にある減税措置の対象外となり、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)の固定資産税は6倍、一般住宅用地(200㎡を超える部分)の固定資産税は3倍になります。

「管理不全空き家」とは?

管理不全空き家とは、そのまま放置すると特定空き家に該当する恐れのある家を指します。ここでは、管理不全空き家の定義と具体例を確認していきましょう。

定義

管理不全空き家とは、適切な管理が行き届いておらず、そのまま放置した場合、特定空き家になる恐れのある家のことです。特定空き家の一つ前の段階ともいえます。

国土交通省によると、少子高齢化が進む日本では空き家が増加傾向にあり、管理不全空き家は令和3年の時点で77,921戸と報告されています。

こうした現状から、特定空き家に限らず管理不全空き家に指定された場合も、固定資産税減税措置の対象外になる法令が施行されたのです。

具体例

管理不全空き家は、以下のような状態にある空き家を指します。

・屋根が剥がれている
・外壁に剥がれがある
・ゴミが放置されている
・草木が伸びて敷地全体を覆っている

上記のような状態にある場合は、管理不全空き家に該当する可能性があるので注意しましょう。具体的な基準は、各自治体のガイドラインで確認できます。

「管理不全空き家」になったらいつから固定資産税が上がる?

管理不全空き家に指定されたからといってすぐに固定資産税が上がるわけではありません。

行政は空き家の所有者に、助言や指導から始めます。指導を行ったにも関わらず改善されず、改善勧告なされた場合には固定資産税減税措置の対象ではなくなります。

ここでは、管理不全空き家に指定されたらいつから固定資産税が上がるか確認していきましょう。

固定資産税が上がるのは「勧告」されたときから

自治体に「勧告」された時点で、固定資産税が上がります。具体的には、勧告を受け固定資産税減税措置の対象ではなくなった翌年の1月1日時点で固定資産税が上がる仕組みです。

空き家が勧告の対象になった場合、自治体から通知書が郵送されてくるため、見逃さないよう気をつけましょう。

「勧告」されるまでの流れ

自治体から管理不全空き家と指定されたら、まず「指導」を受けます。指導を受けたにも関わらず、改善されない場合に「勧告」されるという流れです。

勧告の対象になった時点で固定資産税は上がるので、指導の段階で速やかに改善することをおすすめします。

「管理不全空き家」を放置すると…

管理不全空き家を放置すると、特定空き家の対象となり行政により罰則される可能性があります。

ここでは特定空き家の対象となる家の状態や罰則の内容をチェックしていきましょう。

「特定空き家」の対象になる

「勧告」されても応じず、空き家の状態が悪化した場合「特定空き家」の対象となります。

特定空き家とは、そのまま放置し続ければ倒壊の恐れのある状態や、衛生上有害となる恐れのある空き家のことです。

また、ゴミの不法投棄や建物への落書きなどで著しく景観を損なっている空き家も含まれます。

ただし、特定空き家に指定された場合でも、対象の要因となる箇所を改善し認められれば、特定空き家の指定は解除されます。

「特定空き家」に指定された場合は罰則の可能性もある

「特定空き家」になると管理不全空き家とは違い、罰則される可能性があるため注意が必要です。

管理不全空き家は、周辺の生活環境に与える影響が特定空き家ほど大きくないことから、行政が強制的に措置を行うようなことはしません。

しかし「特定空き家」の場合、命令や行政代執行も実施されます。特定空き家として助言や指導を受けても改善されなかった場合、改善勧告され固定資産税減税措置の対象から外されます。

また「勧告」に応じなかった場合「命令」され、命令にも応じなかった場合には罰則(50万円以下の過料)が科せられてしまうのです。

さらに「命令」を言い渡されても改善できなかった場合には、「行政代執行」が実施されます。空き家は強制的に解体され、その解体費用を請求されることになります。

空き家放置は罰則を受ける?罰金を受けるまでの流れを詳しく解説

「管理不全空き家」の固定資産税6倍を回避する方法

管理不全空き家と指定された場合でも、固定資産税が6倍になるのを回避する方法はあります。具体的な方法を見ていきましょう。

1.「指導」されたら速やかに改善する

「指導」された時点で、速やかに空き家の改善をすれば固定資産税が上がる「勧告」まではいきません。

しかし、空き家が劣化していて、状態が良くない場合は修繕費が数万円から数百万円かかる場合があり、金銭面で大きな負担になるでしょう。

自分が住む場合なら、リフォームを検討するのも手段です。ただし費用面で管理ができない場合は、修繕して空き家を保持するよりも、違う方法を考えた方が良いでしょう。

2.空き家を売却する

空き家は固定資産税や修繕費、管理費など維持費がかかるので、売却するのも一つの手段です。空き家を売却してしまえば、固定資産税もかかりません。

ただし、売却は空き家が住める状態の場合に限ります。劣化が著しい場合は、修繕やリフォームしないと売却できない可能性が高いでしょう。

結局高い費用を負担しなければならないため、空き家が住める状態か確認した上で検討しましょう。

3.空き家を解体して土地活用や売却する

劣化が著しい場合は、空き家を解体して更地にして土地活用や売却した方が良いでしょう。

しかし、土地活用も売却も立地が良くないと売れない可能性があります。解体費の方が高くつく場合もあるので、慎重に検討しましょう。

立地の良い条件とは、「駅から10分以内」「コンビニやスーパーが近くにある」「学校や公園などの公共施設が周辺にある」などが上げられます。

4.空き家専門の買取業者へ売却する

劣化が著しい空き家や、立地が悪く売れにくい空き家などでも、専門の買取業者なら売却できる可能性があります。

管理不全空き家に指定される前に空き家を売ってしまいたい人には、おすすめの方法です。住栄都市サービスは空き家の買取実績もあります。

詳しくは下記のリンクからご覧ください。
スピーディな売却を実現する住栄都市サービスの買取サービス

「管理不全空き家」は適切に対処しよう

管理の行き届いていない空き家は近隣から通報され、自治体の判断によって「管理不全空き家」に指定される可能性が高いです。

自治体から指導や助言を受けても改善されなかった場合は「勧告」され、この時点で固定資産税減税措置の対象外となります。

また、管理不全空き家を放置した場合は、特定空き家に指定され罰則を受ける可能性もあるため注意が必要です。

管理不全空き家の指定を受けたら、速やかな改善や売却を検討するなど、適切に対処しましょう。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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