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空き家を売却する時の注意点7選|必要な税金や不動産会社の選び方も解説

2024.08.15

空き家を売却する場合には、空き家特有の注意点を知っておきましょう。スムーズな空き家売却には、登記や価格設定、税金についてなどさまざまな注意点をクリアにすることが大切です。

この記事では、空き家売却の注意点について解説します。あわせて空き家売却にかかる費用や不動産会社の選び方についてもチェックしてください。

空き家の売却方法

空き家は放置せず、売却を含めて早めに活用方法を検討するのが賢明です。空き家の売却は、現状のまま、更地にするなどいくつかの方法があります。空き家売却の方法とそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

現状の状態で空き家を売却する

現状のまま空き家を売却する方法には、中古住宅として売却をする方法と古家付き土地として売却をする方法の2つがあります。一般的に、建物の築年数でどちらにするかを決めます。

中古住宅として売却する
空き家の築年数が20年以内で今すぐ住める状態であれば、中古住宅として売却をする方法がおすすめです。建物にも価値があるため、土地のみで売却するより価格が上がります。

中古住宅として空き家を売却するメリットは、コストや手間をかけずに売却できること。さらに、実際の物件を見た上で購入を検討してもらえ、すぐに入居可能である点もメリットです。

デメリットは、建物や設備が老朽化して購入後にリフォーム費用が必要な場合、売却価格が下がる可能性がある点です。

築年数は浅ければ浅いほど高く売れやすく、特に築10年以内で探す買主が多いため、可能な限り早く売却活動を進めた方が良いでしょう。

古家付き土地として売却する
古家付き土地とは、資産価値のない古家が建っている状態の土地のことで、一般的には耐用年数である22年を超える物件が該当します。

ただし築20年以上でも片付けやリフォームを施してきれいな状態である場合は、そのまま中古物件として販売できる可能性が高まります。

古家付き土地として売却するメリットは、建物の解体費用が不要で現状のまま売却できる点。デメリットは同じ広さの土地だけの売却と比較して、価格が低い点が挙げられます。

昨今の土地や建材の値上がりによって、新築を建てるのではなく古い家を購入し自分でリフォームをしたいと考える買主も少なくないため、古家付き土地の需要は増えています。

空き家をリフォーム後に売却する

リフォームを行ってから、空き家を売却する方法もあります。メリットは、物件の第一印象が良くなって価値が高まる点です。ただし、リフォーム費がかかる、リフォーム中に売却活動ができないというデメリットがあります。

リフォーム費用は売却価格に上乗せすると良いでしょう。

更地にして売却する

劣化が激しい建物の場合、そのままにして売却すると買主へ良い印象を与えないため、空き家を解体して更地にして売却する方法が有効です。

メリットは建物の維持管理費用が不要になる点や、新築住宅を希望する人、住居以外で土地を利用したい人など買主の幅が広がる点です。

デメリットは、更地にする解体費用が必要になったり、固定資産税が高くなったりする点で、早めに売らないと負担が大きくなってしまいます。

売却価格は更地にする費用を上乗せして決定して構いません。

空き家の解体費用の相場とは?安く抑えるコツ・費用がないときの対処法も紹介

不動産買取業者に売却する

スムーズにかつ迅速に空き家を手放したいなら、不動産買取業者に売却するのがおすすめです。

不動産買取業者に売却すれば仲介手数料がかからず、契約不適合責任も免責になるというのがメリットで、すぐに空き家の現金化ができます。加えて、売却に関する法的手続きのサポートが受けられることも。デメリットは、買取価格が市場価格よりも低くなる点です。

空き家を売却するときの注意点

空き家を売却する場合、売却前後に注意しておきたいポイントがあります。空き家売却の7つのポイントを押さえておきましょう。

独断で空き家を解体しない

建物が古く劣化が激しい場合であっても、独断で解体して更地にするのは避けましょう。

居住用の土地には「住宅用地の特例」が適用されていて、固定資産税が最大で1/6に軽減されている状態です。空き家を解体して建物がなくなると、適用外になって土地の固定資産税が6倍になる可能性も。

また、解体には費用がかかりますが、解体工事をしたからといって確実に売却できる保証はありません。さらに解体中は売却活動ができない点にも注意が必要です。

空き家を探している人のなかには、古い住宅をリノベーションしたいという人もいます。

さらに、改正前の建築基準法で建築された物件が法改正によって既存不適格となってしまい再建築ができない場合もあるので、自己判断で解体する前に不動産業者に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

登記名義人を確認しておく

空き家を売却するときは登記名義人の確認をしてください。登記名義人と売主が一致している必要があるためです。

不動産の所有者は、登記事項証明書で確認できます。登記事項証明書は法務局で取得またはホームページで申請して郵送で取り寄せることが可能です。

空き家になった実家を売却しようとしても、相続登記がなされておらず、登記名義人が祖父のままだったというケースは意外とあるものです。相続登記により所有者が多数となり権利関係が複雑化しがちなため、登記名義人を早めに確認をしておきましょう。

もし相続人が多く複雑になりそうなら、司法書士に相談してみるのも一つの方法です。

抵当権抹消登記の手続きを行う

空き家に抵当権が設定されていると、売却はできません。

一般的に住宅購入の際には住宅ローンを組むことが多く、その場合、金融機関がリスク回避のために物件に抵当権を設定します。住宅ローンを完済していても、抵当権の設定は自動的には抹消されないため残っていることは少なくありません。抵当権抹消の手続きは、債務者自ら行う必要があります。

空き家売却前に抵当権が抹消されているか確認をしておきましょう。抵当権抹消登記は自分でもできますが、難しいなら司法書士に依頼できます。

販売価格は相場よりやや高めに設定する

空き家の販売価格は、買主が値下げ交渉をしてくることを見据えて相場より少し高めに設定するのをおすすめします。

空き家の売却価格は不動産会社に査定を依頼して決めるのが一般的ですが、売却にかかる仲介手数料や税金、諸経費も考えておかなくてはならない点にも注意しましょう。

余裕を持ったスケジュール設定をする

空き家の売却は、戸建て住宅よりも時間がかかるのが一般的です。通常の住宅であれば3ヶ月から6ヶ月ほど、空き家の場合はそれ以上かかることは少なくありません。

特に劣化の顕著な古い空き家や地方にある空き家は売れづらい傾向です。

空き家は売れるまでに維持費がかかります。費用がかかるからといってきちんと管理をしておかないと「特定空き家」に指定されて固定資産税の軽減措置が受けられなくなるリスクも。そのため、売却に時間がかかればかかるほど必要になる維持費も膨れ上がります。

売却前に固定資産税や維持費の負担を減らす対策をした上で、焦らず売却活動を行うことが大切です。

3,000万円控除を期限内に申請する

不動産を売却して利益が出た場合は譲渡所得税がかかりますが、空き家の売却で一定の条件を満たしていれば特別控除が利用できます。

これは、空き家特例と呼ばれるもので、売却益から最大3,000万円までは控除できる制度です。

空き家特例の適用には、土地とともに相続した建物であること、相続した日から3年後の12月31日までに売却しなければならない、マンションでない不動産でなければならないなど条件があります。

参照:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

売却益が出たら確定申告をする

空き家の売却で譲渡所得が発生した場合や譲渡所得に関する特例を適用する場合は、確定申告が必要です。

売却損が発生した場合も、確定申告をすることで給与所得などと損益通算によって税負担を軽減できるため行った方が良いでしょう。

譲渡所得の発生時期は、引き渡し日が基準です。譲渡所得税の税率は、不動産を売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかによって変わります。

空き家の売却の流れ

空き家をスムーズに売却するために、事前に流れを把握しておきましょう。

    • 1.不動産会社をリサーチする

空き家売却に強い不動産会社や販売実績の高い不動産会社をリサーチ

    • 2.不動産会社に査定を依頼して相場価格を把握する

複数の不動産会社に査定を依頼。査定結果や担当者の対応などを比較して、どこの不動産会社に依頼するかを決める

    • 3.不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産会社主体で売却活動を行う。空き家売却の仲介をしてもらう不動産会社を決めて契約を結ぶ

    • 4.売却活動

不動産会社が購入希望者を探し、内覧の対応を行う

    • 5.買主と売買契約の締結

買主が見つかったら売買契約を結び、手付金を受け取る

    • 6.物件の引き渡し

物件を引き渡す準備をして残金を受け取り、引き渡す

空き家売却のスケジュール感は、不動産会社を決めるまでに約1ヶ月、売却まで3~6ヶ月、引き渡し完了までに1~3ヶ月程度見ておきましょう。

空き家の売却に必要な費用

空き家を売却する場合、税金や仲介手数料などの費用が必要です。売却にかかる費用は、おおよそ売却価格の5%前後といわれています。かかる費用を項目別に紹介します。

譲渡所得税

空き家の売却額が取得額を上回り売却益が出たら、譲渡所得税が発生します。金額は利益に税率をかけて算出しますが、所有期間によって税率が異なります。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税=譲渡所得×税率

取得費とは購入金額のことですが、相続などで取得費が分からない場合は売却価格の5%を取得費とします。取得から5年以内の場合は、短期譲渡所得といい、税率39.63%。5年を超えている場合は長期譲渡所得といい、税率は20.315%です。

相続登記費

空き家の売却は、登記名義人と売主が同一でなければなりません。相続した空き家の名義変更をしていなければ、必ず相続登記を行います。相続登記にかかる費用は必要書類の取得費、登録免許税と司法書士への報酬などです。2024年4月1日以降、相続放棄は義務化されています。

・書類取得費 5,000円~2万円
・登録免許税 固定資産税評価額の0.4%
・司法書士への依頼料 5~8万円

印紙税

印紙税は、商業取引による課税文書に貼る収入印紙のことです。不動産売買契約書は印紙税の課税対象にあたるため、作成時に収入印紙を貼って納税する必要があります。

平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される10万円を超える不動産譲渡に関する契約書は、軽減対象です。印紙額は以下の通り。

金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

仲介手数料

仲介手数料は、不動産会社に不動産売却を依頼し売買契約が成立した場合に発生する手数料のことです。売却金額に応じて、宅地建物取引業法で上限が定められています。

売買代金(税抜) 仲介手数料の上限額
400万円以下の場合 売買代金×3%+6万円
400万円を超える場合 18万円

多くの不動産会社が上限で請求しています。

空き家を早く高く売却するための不動産会社の選び方

空き家売却は、ほとんどの場合に不動産会社に依頼して行います。そのため、不動産会社の選び方が非常に重要です。不動産会社の選び方のポイントを押さえておきましょう。

空き家に特化した不動産会社を選ぶ

空き家を早く高く売るには、空き家に特化した不動産会社を選ぶのがおすすめ。空き家売却の実績が多い不動産会社ほど、ノウハウを持っているのでスムーズな売却につながりやすいでしょう。

さらに売却だけでなく処分やリノベーション、活用方法など売主の状況に合わせて最適な解決策を提案してくれるかもしれません。

複数の不動産会社に査定を依頼する

不動産会社を選ぶときは、複数社に査定を依頼するのが良いでしょう。3〜5社に査定を依頼して、価格や担当者の対応を比較します。大切なのは、査定額よりも対応です。

査定依頼をした後すぐ動いてくれるか、査定結果の根拠を明確に教えてくれるかなどをチェックして、安心して依頼できる不動産会社を選びましょう。

空き家売却を検討しているなら、不動産売却を得意とする住栄都市サービスをご検討ください。

空き家の売却時によくある質問

最後に、空き家の売却に関してよくある質問を紹介します。

空き家売却のベストタイミングはいつ?

空き家売却のベストタイミングとは、最も有利な条件で売却できる時期を意味します。

空き家は築年数が経てば経つほど売れにくいといわれているため、基本的に早めに売却するのがおすすめです。

また、空き家を売却して譲渡益があるときは譲渡所得に課税されます。所有年数5年以下が最も高く、5年超、10年超と期間が長くなるほど税率が低くなる仕組みです。

ただし、空き家を含む住宅の場合は、住まなくなった日から3年目の年末までに売却すれば譲渡所得から最大3,000万円まで控除される特例が適用できます。

つまり、空き家になったら「3年以内」に売却するのが最適なタイミングといえます。

空き家売却時の費用や税金を抑えるには?

控除や特例を活用すると、空き家売却にかかる費用を抑えられます。先に紹介した3,000万円控除以外にも、空き家の解体補助金や10年超所有軽減税率の特例が活用可能です。

空き家の解体補助金とは、地方自治体が設けている補助金で、空き家の解体に対して支給されます。補助率や要件は自治体で異なるので、空き家のある自治体で確認してください。

10年超所有軽減税率の特例とは、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年超の場合に、譲渡所得税の税率が低くなる特例です。

課税譲渡所得の6,000万円以下の部分の税率が14.21%(所得税10% + 復興特別所得税0.21% + 住民税4%)、6,000万円超の部分については20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)となります。

3,000万円特別控除と併用が可能です。要件については国税庁のページを参考にしてください。

参照:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

空き家の売却は注意点を押さえてスムーズに

空き家の売却時には、登記名義人の確認やスケジュールや価格設定、売却後の手続きなどたくさんの注意点があります。

また、売ると決めたらできるだけ早い方が良いでしょう。スムーズな売却には、注意点を押さえておくのはもちろん不動産会社選びも大切です。査定額だけでなく安心して売却を任せられるかどうかも基準に業者を選んでください。

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監修
佐々木総合法律事務所/弁護士
佐々木 秀一 弁護士

1973年法政大学法学部法律学科卒業後、1977年に司法試験合格。1980年に最高裁判所司法研修所を終了後、弁護士登録をする。不動産取引法等の契約法や、交通事故等の損害賠償法を中心に活動。「契約書式実務全書」を始めとする、著書も多数出版。現在は「ステップ バイ ステップ」のポリシーのもと、依頼案件を誠実に対応し、依頼者の利益を守っている。

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